【ミリアニ第1幕ネタバレ注意】ミリアニ見て思ったことまとめ

 ミリアニを数回見まして、ようやく自分の中で色々解釈や考察など落ち着いたので、メモ代わりに書き記していきます。

 

 

第1話

・蝶の羽化

 未来たちがソフトボールの試合をしている時に挟まれる、蝶が羽化する描写。まあ言うまでもなくパピヨンですね、OPの一番最初でもパピヨン出てきますし。蛹が蝶になるように〜♪

 

 ところでいきなり話題はアニメとちょいズレですが、パピヨンのマークは一体何のモチーフなんでしょうね。よく言われているのはMの字のかたちですし、それこそミリシタ周年曲的には、シンプルに「羽開き、羽ばたいていくもの」のモチーフにも思われます。

 今回アニメの描写を見てふと僕が思ったのは、「気まぐれに少女たちの前に現れるが、すぐにひらひらとどこかへ飛び去ってしまう輝き」なのかなと感じました。別の言い方をすれば『幸運の女神には前髪しかない』でしょうか。

 それは全く儚い存在で、手放そうと思えばあっさり離れて消えてしまうのです。しかもいつかは息絶える理。見る人によってはまさに偶像でしょう。

 そして、そんな夢幻の蝶を追いかける少女たちのストーリーこそが、ミリオンライブである……と。

 

 パピヨンがまるで残酷な存在であるかのような捉え方ですが、実際アイドルには残酷な面があることは否定できませんし、そうであるがゆえの魅力を間違いなくミリオンライブは持っていますから。

 

・多重部員

 話題をアニメに戻しまして。

 未来がお手伝いしている部活は8つでした。ソフトボール、バスケ、水泳……エトセトラ。なんかゲッサンの時より増えてますね。

 また学内の部活の応援だけでなく、子供たちの遊び相手になったり、お年寄りと卓球をしてあげたりと、活動の幅も広がっています。

 

 そしてここから、アニメミリオンライブがいかに丁寧なアニメであるかの話が始められます。

 まずこの時点で未来は、学内外の人々の手助けをしており、さらに「試合で点をあげる」など何かしらの結果を残しています。つまり未来は誰かを応援することにおいて非常に高い適性を持っており、さらに彼女自身でも積極的な姿勢を見せているわけですね。

 次に、これが繋がるのが765ASのライブシーン。春香の歌唱した "頑張れ!" のシーンに未来は強く影響を受けたことは明示されていますが、これは未来が応援適性積極性共にSランクであるがゆえに、その姿に自分自身を重ね合わせた結果であることが推察されます。

 で、さらにこれは未来と静香の公園〜オーディションのシーンに活かされます。アイドルになることが夢という静香に対して、すっかり静香のファンになってしまった未来は、色々な声がけをしてあげることで見事、静香がアイドルになる手助けを成功させてしまったのです。

 その後も工事の人たちに感謝を述べたり、「何かやりたい!」とアイドルたちの想いを汲み取って『原っぱライブ』を企画したりと、彼女の手助けはとどまることを知りません。

 

 もうこの流れがあまりに綺麗ですよね。情報の出し方と転がし方とが、簡潔かつ明瞭かつ丁寧。

 10年も続いているコンテンツですから、多少設定のごちゃつきはあっても仕方ないと思うんですが、キャラ設定の時点で非常に綺麗に作られていることがよくわかります。

 

・公園のシーン

 ここには色んな諸々が詰め込まれていますので、とりあえず静香の話をしましょうか。

 まず "ToP!!!!!!!!!!!!!" を歌う静香。ここで未来は静香に惚れ込んでしまいます。個人的には、ここの歌唱に10年来の重みを感じたというか。もともと歌の上手い子ではあるけどとはいえあのレベルの歌唱は結構最近の成長した静香じゃないかなぁなんて思いもしましたが、まあ上手い分には別に良いかとも思うのでモーマンタイです。何より未来が一瞬でファンになるくらいですからね。

 

 その後、未来がジャングルジムに向かって走り出す場面。

 ここは結構意味ありげですね。未来が静香の隣をまるで抜き去ってしまうようなカットが挿入されています。もしかすると、未来が静香よりアイドルとして先を行くような展開の伏線かもしれません。そうなるとゲッサンとは真逆ですが……果たして。

 

 そもそも、ミリアニの静香って、ゲームの静香と明確に違う点が1つあって。ゲームの静香はオーディションに1人で合格しちゃうんですよ。だからこそアイドルの最初のファンはプロデューサーみたいな話も生まれますし。

 それが今回の静香は、かなり未来(と翼)に頼る形でオーディションに合格しました。結果、静香の性格や言動にもやや差違が生じると考えられます。

 

 これまでの作品であれば、周囲の大人に反対されながらも自分のやりたいことを決めて実際に一つ成果を出す(=アイドルになる)、という経験をアイドルになるタイミングで済ませています。そしてだからこそ、Pに対して初対面から強く当たれたり、いわゆる「しずしほ」のような強気な姿勢を出したりしても、そこまでの違和感もなく受け入れられます。

 一方で今回はその経験がなく、アイドルという夢に対して、自分の実力だけで何かを掴むことがまだ出来ていません。何ならメンタル面は相当未来頼みなのが現状です。

 ぶっちゃけアニメの静香に「私は一人でも大丈夫だからほっといてください!」って言われても、いや君オーディションのとき未来に助けられてたやないかーいって思っちゃいますね。

 

 ただしその分、ゲッサンで千早も言っていた、他人との繋がりを静香は築くことができています。すでに未来と静香との関係性は、ゲッサン後半期のそれ。

 

 なので、ミリアニの静香関連の話として、ゲームでやっている「父親との諍いにPたちが介入して手助けする」よりかは、「期限付きのアイドル活動をしている中で生じる未来とのアレコレ」がメインになると考えられます。もちろん前者の話も拾うことは拾うでしょうが。

 

第2話

・オーディションに向けて練習

 南池袋公園(だよね?)にて、課題曲 "Rat A Tat!!!" の練習をする未来と静香。池袋なのは、豊洲直通の有楽町線が通っているからですかね。ちなみに静香の出身地は埼玉なんですが、もしかすると現住居は東京に移してるんでしょうか。

 そしてここで、765プロアイドル募集プロジェクトのオーディション内容が明らかになります。意外と厳しいらしい765プロのオーディション。あの社長と2人のPで、はたして本当に厳しいオーディションになるかは疑問ですが……。

 レッスン中には、未来がお弁当を静香に振舞う場面もあります。デートかな。

 始めは笑われてしまうレベルだった未来のダンスも、数時間練習しているうちにすっかり見違えて上手くなりました。通行人の表情でそれを描くのは、よくある手法ではあるものの、ミリアニの巧さが出ていますね。

 

・未来とPとの3度の遭遇

 場面はオーディション当日へ進みます。

 会場である中野サンプラザにたどり着いた未来が、またも偶然通りすがったプロデューサーにぶつかってしまう場面。

 この場面は計3回繰り返されますが、その3回でプロデューサーの反応が変わっていることは注意すべき描写でしょう。1回目はプロデューサーも受け止めきれず、ややぐらつくような反応。しかし2回3回と積み重なると、プロデューサーも肩に手をやって受け止めるぐらいの対応を見せるようになります。ぶつかり稽古ですね。

 この描写は、後々プロデューサー自身が成長することを示唆しているとも考えられます。元アニマスでもプロデューサー(現チーフの方)が成長する展開はありましたから、期待して良いでしょう。

 加えて、面接の際に未来が放った「さっきぶつかった人!」という言葉から、おそらく未来は1回目2回目の遭遇を覚えていないものと思われます。未来ちゃんだもの。

 

・オーディションの手伝いをするアイドルたち

 未来、静香、翼のメインどころは1話時点ですでに登場していますが、2話からは他のアイドルたちもちょこちょこ顔を覗かせるようになります。

 最初に出たのがレッスン中の奈緒・百合子・志保トリオで、回想に残りのバックダンサー組。そして次に出て来るのは、オーディション会場にてお手伝いをする数人のアイドルたちです。

 海美、琴葉、桃子、このみさんが選出されていましたが、琴葉とこのみさんは落ち着きのある大人的立ち位置として、桃子はある程度芸能界に通じているご意見番としての起用でしょう。海美は……いざとなったときに足が速いからとかですかね。面倒見もいいし。

 作中では、海美のコミュによく出て来る例のポーズが再現されていたり、このみさんの免許証が出たりと、とかくネタに尽きませんでしたが。

 中でも桃子が途中呟いた「演技……」というセリフは、後々の展開にも関わってきそうなセリフ。もしかして39人それぞれにメイン回的なものがありうるのか、という期待のもてるシーンです。

 

・ステージオーディション

 というわけでいよいよ第2回のメインどころである、オーディションライブ……なんですが。

 ぶっちゃけた話、綺麗な展開を追う上ではまぁ別に何か言うアレもなくて。みんな是非映画館で見てくれよな!ぐらいですかね。

 

 ただあえて言うことがあるとすると、静香が緊張を乗り越えてラスサビに入るタイミングで、プロデューサーたち観客が見たあの幻。

 もちろんアニメ的な表現ではあって、多少大袈裟なところも認められるんですが、一方このシーンはミリアニの丁寧さを形作る一部でもあると個人的には考えています。

 未来、翼の助けによって静香が復活し、3人の輝きから39人のステージが見える。その39人のステージって、つまるところミリオンスターズのアイドル活動の象徴じゃないでしょうか。歌唱、ダンス、演技、その種類を問わず39人のアイドルの物語を象徴したものだと思うんです。

 そしてそう捉えたとき、プロデューサーが見た幻は「春日未来の加入によって、アイドルユニット・ミリオンスターズの活動が始まる」と解釈できるんです。未来は、いわばミリオンスターズのエンジンなんです。

 その裏付けと言ってはなんですが、第4話までに流れる歌付きのミリオン曲としては "Rat A Tat!!!" と "セブンカウント" のみ。そのどちらもが、テーマとして「これから始まる」を持っているんです。

 第2話での未来の見せた幻と、第4話での未来の語り。これらによってようやく、ミリオンスターズの物語は紡ぎ出されていきます。

 

 しかもステージで幻を見るという展開は、1話の春香から未来へで既に済ませていますから、展開として無理な話ではありません。

 むしろ、自分の見つけた輝きを誰かに伝える、そんなステージの出来る未来だからこそプロデューサーも合格にしたと思えば──。

 

 まあとはいえ、39人が本当にステージ上で踊ってるみたいな描写をされているせいで、シーンとして浮いて見えるみたいは指摘も分からんではないです。

 

第3話

・多種多様な仲間たち

 見事オーディションに合格した未来、静香に、加えてスカウトされた翼が案内されたのは、まさかの原っぱ〜〜〜!?

 

……ではなく、我らが765プロライブ劇場(建設中)。そこで未来たちは、765プロのバラエティ豊かな面々と顔を合わせることになります。

 劇場の外でアートを制作中のロコ、どこか見覚えのある馬?に乗って現れたまつり、劇場の中でキャッチボールをしている昴に海美、すぐ妄想に耽ってしまう百合子、オンオフの激しい杏奈。星梨花が「個性が……」の悩みを抱えてしまうのも時間の問題ですね。

 

 そんな個性たっぷりのメンツで送った初めてのレッスンについて。

 今回のミリアニの世界観は「『輝きの向こう側へ』の続編らしきもの」なので、百合子、杏奈、星梨花の3人は大きな舞台を一度経験しています。そのおかげか、レッスンを終えた直後でも余裕のある様子を(1人以外は)見せていました。

 ですがまつりについては、恐らく3期生?に当たるので、まだ舞台経験など不十分なはずです。それでもついていける辺り、まつりがまつりである所以でしょう。

 

 それから、ゲッサンのお話を意識されていることはもはや言うまでもありませんが、ゲッサンと比べて未来の柔軟性がちゃっかり上がっていました。あとついでに言うと、翼の初登場シーンはどちらも「初めて見たダンスをあっさり踊りこなす」ですが、ゲッサンでは途中までしかダンスを覚えられなかった翼が、アニメでは全部通して完璧に踊りこなしていました。

 もちろん物語の展開との兼ね合いもあるでしょうが、未来・翼のポテンシャルはやや高めに設定されているように感じますね。

 

 ついでのついでに触れておくと、『輝きの向こう側へ』にはバックダンサー組以外のアイドルが登場するシーンがあります。そう、エンディングですね。

 琴葉、風花、エミリー、まつりの4人が写り込んだ、可奈がオーディションに備えているシーンの1枚絵ですが、妥当に考えるならこれは765プロへのオーディションでしょう。

 しかしミリアニでは、ひとまずバックダンサー組7人を1期生として採用し、さらにオーディション・スカウトによって2期生、3期生……を獲得していくという流れになっているので、ここでもまた世界線の分岐が生じていそうです。

 

・初めてのステージ

 場面変わって、現場大臣さんの取り仕切るステージの方へ。

 未来の聞いた「初めてのステージはどんな景色だった?」に対して、杏奈や星梨花が表情を曇らせるシーンがあります。百合子の返答からするに、大方どう伝えたら良いか表現方法が分からないみたいな表情なんでしょうが、僕はちょっと違う可能性も考えました。

 

 もし彼女たちが劇場版と同じ道筋を歩んでいるなら、バックダンサー組の最初のステージってマスピ歌ったアレじゃなくて、大失敗して志保がキレたやつなんですよね。

 だから「最初のステージ」にはそんなに良い印象って無くて、でも未来たちにそのことを言うのも憚られるから……の結果、どう答えたら良いかわからないの表情になったのかなと。

 もちろん全く『輝きの向こう側へ』と同じにはならないと思われますが、すでに志保が可奈のことを「可奈」呼びしているところからも、何かしら一悶着はあったんだろうなぁと察せられます。

 そして、仮にそんな悩みがあったとするなら、百合子はその悩みのことは言わずにステージのポジティブな魅力を述べたわけですから、立派に劇場の先輩的ポジションを務めてくれたことになります。

 

・呼称の話

 ここはもうミリアニ全然関係ないんですが、呼称の話が出たので。

 

 未来→百合子が呼び捨てなのは有名な話ですが、他にも昴を呼び捨てにしています。ソフトボール仲間だからでしょうね。

 年上の呼び捨てはその2人だけで、あとは同い年の翼、志保、可奈、杏奈に、年下の星梨花と環も呼び捨てで呼んでいます。

 じゃあ他の年上はどう呼ぶんだと言えば、これが案外規則的なもので、8割ぐらいのアイドルに対して「成人してたらさん付け、未成年の年上にはちゃん付け」ルールが適用できます。このみにはさん付けで、琴葉にはちゃん付けなんですね。

 ただもちろん例外もあり、それが

 

(ちゃん)麗花

 

(さん)海美、歩、のり子、可憐、ジュリア

 

です。麗花のちゃん付けはまぁ確かに分かるし、歩、のり子、可憐、ジュリアあたりも大人っぽい見た目をしてるから、さん付けしてしまうのも分かります。

 

 海美は…………?

 未来→海美ってさん付けなんですね、最近知りました。タイプ的にも近く、仲も良さげなのにさん付けしているのは、もしかすると今回の百合子みたいにちょっとしたエピソードがあるのやもしれません。

 

 ちなみに百合子に対しては静香も呼び捨てにしています。未来との感動のエピソードが終わった後、自分も同じだという顔して呼び捨てにし始めたのだとすれば、実に最上静香ですね。

 あと翼と可奈はちゃん付け、残りの14歳組からはさん付けです。

 一方百合子が呼ぶときは、未来、翼、志保が呼び捨てで、残りのシアター14歳組にはちゃん付け、やよいには貫禄のさん付けです。先輩後輩序列のしっかりした体育会系女子なのか。

 

・プロデューサーの話

 第3話では、アイドルたちはひとまず挨拶を済ませていく展開になりますが、プロデューサーの方では少し物語が進みます。

 それがチーフプロデューサーからプロデューサーへ、アドバイスがなされる場面。

 劇場がオープンする2ヶ月間、アイドルたちのために何か自分に出来ることはないかと悩むプロデューサーに対して、チーフはアイドルたちと一緒に考えようと提案しました。

 これはアニマスを経験したチーフだからこそ言えることだと思います。律子がプロデューサーとなって竜宮小町を結成した際、彼も何かやらないとと焦りを感じて、結果ダブルブッキングの失敗をしてしまいました。しかも、確かこの回の会話が、12話の美希回へ繋がっていくとかでしたよね。

 大事なのはアイドルとプロデューサーとの対話。ちゃんと39人全員と話し合いながらアイドル活動を進めていきましょう。多いな?

 

第4話

・37人全員登場

 第4話にてようやく、37人が顔を見せることになります。ていうか紬歌織はやっぱり後からの参戦なんですね。後輩的なポジションがいるとお話が作りやすいんでしょうか。

 それはさておき、実質20人強が一気に登場していくことになりますので、お話としては「ミリオンライブを知らない人が見るとちょっと混乱しないかな……?」という一抹の不安が湧き上がります。今までがキャラ紹介についてスローテンポに進んでいたので、唐突な加速にビックリしそう。

 でもそのおかげと言うべきか、お話の内容はミリオンライブらしいかなりカオス極まりないものになっていました。37人それぞれの会話からフェスの内容などが決まっていく、なんかグリのフィーチャリングを思い出します。

 

 急ぎ足なキャラ紹介パートの中でも、伏線と思しき場面がちらほら見受けられました。例えばのり子の「アイドルっぽい可愛らしいことはまだできない」というセリフ。後々のり子回で引用されるやもしれない文脈ですね。

 それから、これは前回からの続きにもなりますが、ASのライブについて行ってるメンバーたち。彼女たちが果たしてどんな経験を積むのか、以降のお話でぜひ触れてほしい部分です。

 

 あと、原っぱライブの舞台を作っている際に静香が言った「アイドルになることが私の夢」。これを受けた翼は、何か言いたげな表情になっていました。

 現状翼はキャラの深掘りが十二分になされているとは言えないので、これからどのように描かれていくのかが楽しみです。

 

 話ももう少し先に進めて、桃子が1人で悩んでいるシーン。見守るばかりの琴葉と、声をかけてあげた瑞希

 まず瑞希が声をかけたことに僕はビックリしました。そこで瑞希なのかと。意外な積極性でしたね。

 一方の琴葉は、後々の伏線になるやもしれない動き。助けてあげたいけど一歩が踏み出せない琴葉、この先どうなることやら。

 

・雨

 これはそんなに大仰な話でもないんですが、原っぱライブのことで劇場がカオスになっていく最中、美咲が劇場外に茜のグッズ第2弾を見つけたシーンで、全体的に明るさが落ちてるんですね。その後ロコアートを見にいくシーンでは、ロコアートを通して空が真っ黒になっていることが描かれています。

 この辺りにもミリアニの丁寧さが出ています。『暗雲立ち込める』を現実的な描写で行い、未来たちのシーンで唐突に雨が降ってくることのないようにしているんです。

 

 他にも、桃子が出て行った後、恵美がつぶやく後ろで育も何か口を動かしているなど、とかく背景で物語を展開させていたところが本当に丁寧だし、アニメ的な表現ですよね。

 

まとめ

 大体の感想でも言われていることではありますが、もともとPだった人にとっては、どうしても期待はあまり出来ずに見にいった作品でしたし、その結果非常に良いものが返ってきてビックリしています。

 

 ただ、もちろん笑える・泣けるアニメですし、出来も良いものの、現状4話で「神作!」と言えるほどかと言われると、そうではないなぁと思います。それは単に「批判できるところがある」とかの文脈ではなくて。

 いわゆる全世界沸騰の話題作みたいなアニメは、そのアニメがコンテンツの中心になっちゃうんですよ。設定やら展開やらが、アニメを原作とする形でまとまる。下手すると、もともとあったそのコンテンツとは、また別のコンテンツとして存在しかねない。

 

 でもミリオンライブというコンテンツは、やっぱりゲームの展開が中心に間違いなくあって。それに付随する、あるいは宣伝の目的でアニメが存在しているわけで。

 だからミリオンのアニメに求められることは、神作品であることではなくて、良作品であることだと僕は思うんです。例えば原作ゲームのネタを拾ってくるだとか、ゲームでは描ききれなかった文脈を描くだとか。

 もともといたファンにも受け入れてもらえて、かつ新規ファンも獲得できるラインが、良作品と呼ばれるアニメだと思います。

 

 で、今回のミリアニはまさしく、その意味での良作品……になると思います。

 何せまだ4話だけですから言い切ることは出来ませんけれど、でも今現在やっている設定の下地作り、序盤の展開などを見るに、ミリオンのPには間違いなく受け入れてもらえるし、初めて見る人の中にも「面白い! ミリシタやってみようかな……」となる層がいるほどの出来になりそうな予感が今からしています。

ミリシタメインコミュ感想(アイドルID 05~08)

 

メインコミュ完読会ようやくの2回目。

書く方にかなりリソースを取られている気がする……気のせいか。

 

・05 高槻やよい

⑴ メインコミュ第49話「はじめてのキラメキ☆」(歌唱曲:キラメキラリ)

流れとしては──次の公演のセンターを任されることになったやよい。

 せっかくだから何か新しいことをしたいと彼女は言うが、なかなか具体的な案は出ないようだ。みんなで集まって話せる機会を設けるため、急遽プロデューサーを含めた5人が高槻家にお邪魔することに。赤ん坊であるコウゾウの子守りも手慣れた様子で済ませ、夕飯はもやし祭りが始まる。

 そんな中やよいから語られた、新しいことをやりたいと思った理由は、ジュリアたちの初めての公演は「キラキラ」していて、今回の公演も同じように「キラキラ」させたいと思ったからだった。だがそんなやよいに、プロデューサーは「いつも通りやろう」と返す──というもの。

 

 おそらくアイマス内部で一番知られている曲だろう『キラメキラリ』にならってか、いわゆるやよいらしさをググッと詰め込んだコミュだったと思う。

 新人たちの活力に溢れたステージを見て、自分も何か新しいことをやりたいと思う前向きさは、やよいならではのものだろう。また家族との繋がりも彼女と切り離せない話題だ。

 「ハイ、ターッチ!」まで含めて、彼女の一つ目のメインコミュとしては上々の出来ではないだろうか。

 

 さらにこのコミュを読んで気づくのは、芸歴としては劇場組よりも先輩、しかし年齢では後輩(のことが多い)なやよいにとって、彼女たちとの関わり合い方はより相互性が高いものになるということ。

 だからもしかすると、やよいがギターソロを披露してくれる日も近い……かもしれない。

 

⑵ メインコミュ第96話「今どき、今まで、これから」(歌唱曲:ストロベリー・キューピッド)

流れとしては──話題の中学生を集めてトークを行うテレビ番組『中学生ダイアリー』のレギュラー出演者に選ばれたやよい。更に次の公演で、やよいの新曲を披露することが決まった。

 渡されたのは『ストロベリー・キューピッド』、等身大の中学生らしさがこめられたラブソングだが、やよいは「今どき」の中学生の像からはやや離れた環境にいる。

 そんな中、中学生ダイアリーの初回収録が始まった。自己紹介で家族の話題が出ると、出演者である中学生たちからは口々に「えらい」という言葉が投げられた。だがやよいは、自身をえらいとは思えず、更に次回のトークテーマである『私の夢』についても上手い答えが見つからないようだ。

 プロデューサーから助言を受け茜たちの夢の話を聞くと、悩む彼女にも見えてきたものがあって──というもの。

 

 「夢が見つからない」という切り口が中々面白いコミュだと思う。春香の1話目でも似た悩みはあったが、あちらは夢自体はあったけれどそれが上手く言葉で表現できない……といった悩みであった。

 対してやよいは、まあ言ってしまえば貧乏な生活を送っているために、いくらでも夢が浮かぶポジティブな性格にはなり切れないところがあるのかもしれない。それが対比されているのは劇場のメンバーたちに対してもだし、中学生ダイアリーに集められた出演者陣に対しても。

 出演者陣も大きな夢を持っていて、今はまだそれに向かって走っている最中なのだ(語られてはいないが)。

 「今どきの中学生ならば……」によって作られる像と、やよい自身との隔たりをどう埋めていけばいいのか。あるいは埋めずとも、どのように理解しあっていくべきか。

 やよいの抱えるアイドルとしての問題を上手く突いたコミュだったと思う。

 

⑶ メインコミュ第118話「星明かりをたよりに」(歌唱曲:ピピカ・リリカ)

流れとしては──「節約アイドル」として、情報番組のレギュラーなどに任命されていたやよいに、新商品のCMのオファーがくる。メーカーからは試作品で何か料理を作ってみてほしいとの話も。

 せっかくだからハンバーグでも、と弟たちと一緒にお肉売り場を見ていると、それがネット記者に撮られてしまい、悪意のある記事として掲載されてしまう。更にその影響で情報番組への出演も一時的に見合わせとなった。

 落ち込むやよいだが、律子から「ネット配信をしてみてはどうか」と提案される。幸い知り合いだったインフルエンサーのあま音に連絡を取って、彼の配信にゲストで出れることになる。

 さまざまな人から温かい言葉をもらって、やよいはどんなことを思うのか──というもの。

 

「お肉のパックを手に取っているところを撮られて炎上」だなんて、ものによってはコメディストーリーの題材にでも用いられそうな話だが、実際週刊誌などに目を向けてみるとそんなニュースばかりである。

 まあ無意な現実批判をするつもりはないが、今回はそういう物悲しい現実に突き当たったやよいが、いかに悲しさを解消するかに目が向くコミュだと思う。

 

 そして、そこでフォーカスされるのがやはり人の温かみなのだ。

 ⑴では家族の話が取り上げられ、⑵では同年代の子らとの差異が取り上げられ……という風に、やよいのコミュは全体を通して「人との関わり」に目が向いている。

 今回は中でも守る立場のプロデューサーや、応援してくれるファンとの繋がりが解決策となっていた。

 

 あと少し話題としてはそれるが、こういう事態に対して解決策をポンっと出せてしまえる律子が、相変わらず有能である……。

 

・06 菊地真

⑴ メインコミュ第61話「そして、少女は羽化する」(歌唱曲:自転車)

流れとしては──真に、可愛らしい妖精をイメージしたグラビアの仕事が入った。

 撮影自体は大成功に終わったものの、その写真を見た漫画家から新たに依頼が入る。なんとその漫画家は、真も大好きな少女漫画『キミさけ』の原作者だった。

 依頼内容は『キミさけ』の実写化ドラマで、王子様のカケル役を演じてほしいとのこと。せっかく真の可愛い面を見せられたところなのに、かっこいい面を見せてしまうのは魅力を打ち消してしまうのでは……との指摘も入る中、真は「ドラマに出たい」と力強く言い放つ──というもの。

 

 やはり可愛さと格好良さの両立は、真を語る上で外せないものだろう。

 本人も、基本的には可愛さを押し出していきたいと思いつつ、ただアイドルとして経験を積んでいくうちに、求められる格好良さにも答えていきたいといったポジティブな姿勢が出てきているようだ。正直「なんとなく」で真を知っていた自分としては、1話目の時点でここが克服されていることに驚いた。

 そして今回のコミュでは、可愛さと格好良さのギャップに触れながらも、その両立を『透明感』という言葉で上手く表していると思う。

  

 それから、劇場組が増えたことによって新たに登場した『少女漫画好き』仲間のまつりや未来との関係性にも注目したい。

 

⑵ メインコミュ第79話「先ゆく風になれ」(歌唱曲:WORLD WIDE DANCE)

流れとしては──真の貰った新曲『WORLD WIDE DANCE』は、明るさや元気の良さを引き立たせるダンサブルな曲だった。そこで彼女は「自分で振り付けを考えたい」と志願する。

 初めての経験ながらレッスンの序盤は順調に進み、ダンスの得意な子たちは振りもすぐに覚えてしまった。

 しかし順調すぎるが故に振り付けがどんどんその場で変更され、真自身も把握しきれないほどに。しかも個人レッスンが増えた結果、全体で合わせてみるとボロボロと綻びが生まれてしまう。

 思わず飛び出した真を追いかけ、プロデューサーは劇場の屋上へ。頭を落ち着かせた彼女は「みんなに寄り添えていなかった」と言うが、プロデューサーはそれに疑問を呈する──というもの。

 

 ほうれん草は大事。古事記にもそう書かれている……みたいな話はともかく。

 アイドルという立場ながら、新しいことに挑戦しようとする真と、それを陰から支える仲間たちの構図が、良いなあと感じさせるコミュ。こういう環境だからこそ765プロは新しいものにどんどん挑戦できるのだろう。

 

 それから、『WWD』の歌詞に登場する「なりたい自分」が、コミュ内でも積極的に使われている。特に最初あたりの「なりたい自分に、ボクが変えてあげる」のセリフなんて、思わずヒューッ!と言いたくなるほどのカッコよさ……。

 

・07 水瀬伊織

⑴ メインコミュ第59話「とびっきりの!!」(歌唱曲:プライヴェイト・ロードショウ(playback, Weekday))

流れとしては──次に控えるは伊織のセンター公演だが、プロデューサーは彼女自身に公演の采配を振るうようお願いした。

 しかし彼女の提案したゴージャスな公演内容は、どれもスケールの大きすぎるもので、プロデューサーとしても仕方なく却下せざるを得ない。

 基本的なレッスンは滞りなく進む一方で、なかなかプロデューサーから公演内容のOKが貰えない伊織は、ついに憤慨し、劇場を飛び出していってしまう──というもの。

 

 高飛車で威勢の良い態度を普段見せる伊織だが、その実自信が持てなかったり、デリケートなところがあったりする。そこの部分を、仲間からの支えもありつつ乗り越えるというストーリー。

 といってもこの問題はまだ終わっていないのだけれど……そこは後述。

 

 そんな感じで、メンタルには少々問題のある伊織だが、アイドルとしての実力などはAS組の中でも高い方だ。このコミュでも、レッスン自体はすこぶる順調だとか、公演の基本的な構成はあっさり完成させてしまうといった描写から、彼女の優秀さがうかがえる。

 

 あとまあ見どころといえば、やっぱりプリプリしている伊織は……うむ。

 

⑵ メインコミュ第110話「誰よりも輝いて!」(歌唱曲:DIAMOND)

流れとしては──伊織プロデュースのミニイベントの開催が迫る中、進行についてメンバーたちから質問攻めに遭う伊織。さらにプロデューサーからは定期公演で歌う曲の話も聞かされ、彼女はすっかり多忙な生活を送っていた。

 だが人気アイドルにもオフはある。ある休みの日、伊織は幼馴染であるメイと、5年ぶりの再会を果たした。

 思い出話に花を咲かせる中、伊織がメイのダンスについて触れた。昔はプロを目指していた彼女だが、最近は父親からダンスを辞めるよう言われているらしい。伊織も説得するものの、メイは「何でも許される伊織とは訳が違う」と返す。

 そこで伊織が提案したのは、ミニイベントで伊織とメイが一緒のステージに立つことだった──というもの。

 

 まずはコミュ全体の流れに着目したい。よくあるメインコミュでは、スポットライトの当てられている子がある問題を抱えていて、それをプロデューサーやアイドルの仲間、時にはもっと外部の人の手も借りながら、問題解決を図るという流れが見られる。あるいは明確な問題でなくても、疑問が解決したり新しい解釈が見つかったり、センターの子の成長が何かしらの形で現れるだろう。

 

 しかし今回、このコミュを通して伊織が成長したという描写は、一切ない。

 

 いや、これが本当にないのだ。何ならレッスンが上手く行ったとかもない。メンタル面の成長も技術的な成長すらなく、このコミュに登場する伊織は、常に最初から最後まで水瀬伊織である。

 あるいはこう言えば良いだろうか。このコミュは、アイドル水瀬伊織の、自己紹介のコミュである。

 ええっ、すでに1話目を済ませていて、しかも2話目の展開でいえば最後のトリを飾る、話数も3桁に登った時点でのお話なのに自己紹介なのかい──などと驚かれるのも無理はない。だが逆に考えてみよう。

 

 メインコミュの2話目では、AS組は思いもよらぬ切り口から、その子の意外な側面を暴き出すような話が多い。あるいはまだ先のことだが、劇場組の場合は、よりディープにその子の抱える問題に触れていくような話が展開される。

 そして続く3話目では、先にも述べた通り世界観がググッと広がり、多彩な外的問題にアイドルたちは触れていくこととなる。

 この「抉っていく」2話目から「広げていく」3話目への展開にかけて、一度世界の流れを落ち着けたかった……書き手のそんな意図を、個人的には感じている。

 確かにキャラクターの深掘りは大事だ。だが深掘りした結果、彼女たちはどのくらい成長しているのか。2話目を経験したアイドルたちの決着はここでつけておきたい。そして願わくば、3話目で大きく羽ばたくための足掛かりを、ここで作っておきたい。

 

 だからこその伊織であり、だからこその『DIAMOND』なのではないだろうか。

 この曲が歌うのは磨かれることによって光輝く宝石である。伊織がこの曲に当てはまるのはもちろん、他のアイドルにもまた当てはまる。なぜなら2話目で彼女たちは「抉られた」から。そうして、このダイヤモンドの輝きを持って、彼女たちは新しい世界へ旅立っていくのだ。

 ただ1点、伊織は他のアイドルよりも、元々から輝きが感じられる。単に、ミリシタが始まった時点で1年先輩というのもある。だがそうでなくても、やっぱり今のAS組の中で、伊織は一番安定感のあるアイドルだと感じる。

 変化の連続によって紡がれてきたメインコミュ2周目を、最後に変化ではなく、実力によって飾ることのできるアイドルは、水瀬伊織をおいて他にはいないだろう。

 

 とは、相対的なこのコミュの考察。じゃあ伊織の「抉る」はなくなったのかと言えば、実は3話目にこれが来ている……といったところで⑶に移ろう。

 

⑶ メインコミュ第131話「空の青にも、海の蒼にも」(歌唱曲:ソナー)

流れとしては──様々なアイドルの集うライブイベント、アイドルフェスで、見事ステージを勝ち取った5人。特に伊織はソロの枠にも選ばれており、765プロを代表して、記者会見やスポンサーへの挨拶回りなどに参加することに。

 そこで出会ったのは水瀬家と親しい間柄にある、大手通信系企業の会長だった。彼は伊織のことも幼い頃から知っていて、純粋な行為で伊織を応援したいと言う。だが家族となるとデリケートな伊織。気丈に振る舞ってはいるが、プロデューサーとしては心配せずにいられない。

 翌日、プロデューサーから律子に相談してみると、「私に任せてほしい」と心強い言葉が返ってくる。果たして律子は、伊織にどんな言葉を投げかけるのか──というもの。

 

 これは間違いなく、伊織の意外な側面を暴き出すようなコミュだろう。

 伊織と言えばやっぱり、皆にも自分にも厳しく、でも結構甘いところもあって、何より先にも述べた「安定感」に満ちた舞台を披露する、みたいなイメージがある。しかしこのコミュからは、伊織の年相応な「不安定さ」が垣間見える。

 

 それから、このコミュの魅力の半分は、ぶっちゃけバックダンサーの律子にあると、個人的に思う。

 特に伊織に言い放った「私たちにとってはチャンス」の発破は、ウオオオオリッチャアアアンと叫びたくなるぐらいにはぶっ刺さった。

 しかもこれ、単に律子の最高の発破というだけでなく、竜宮小町の伊織と竜宮Pの律子との間の言葉である。じゃあお前もプロデューサーってことじゃねえか!!!

 

・08 四条貴音

⑴ メインコミュ第51話「月影の庭で」(歌唱曲:addicted)

流れとしては──貴音の出演する野外フェスが大成功をおさめた。エミリーたちも称賛を送る中、プロデューサーから彼女のセンター公演を行うことが知らされる。

 レッスンにて、後輩から様々な言葉をかけられた貴音は「劇場のセンター公演では、むしろ先輩として自分を導いてほしい」と返す。

 その後迎えたイベントでも、成果はどうだったかと気に掛けるメールが送られてくる。良い仲間を持ったと笑顔を見せる貴音だが、その表情に一点、曇りが見えて──というもの。

 

 後輩たちから慕われる一方で、貴音自身はまだ将来に不安を抱えている。あるいは慕われるが故に貴音と同じラインに立って考えてもらえない……というコミュ。実際貴音は未だ18歳だが、劇場メンバーで18歳と言えば琴葉、美奈子、のり子だ。彼女たちと比べれば、容姿は貴音の方が大人っぽい。

 だがそれでも中身はまだ18歳の女の子なのだ。プロデューサーが側にいて見守ってあげることも、大事なことだろう。

 それから、貴音といえばそのミステリアスな部分も魅力だが、内に秘めた普通の女の子の可愛さも魅力である。特にプロデューサーと貴音との会話の多いコミュなので、彼女のきゅーとな言葉遣いに心をやられること間違いなし。

 

 何気に瑞希とのライバル関係が、ここから築かれていくのだが……果たしてどうなることやら。

 

⑵ メインコミュ第83話「お姫さまの庭で」(歌唱曲:フラワーガール)

流れとしては──育から、『ワガママ姫と花の庭園』という新作アニメ映画の話を聞いた貴音。育いわく、貴音の容姿はそのお姫様に似ているが、性格は全然違うとのこと。話の流れで、3人と、それに合流してプロデューサーに真美、律子とで映画を見に行くことに。

 さらにプロデューサーからは、貴音のセンター公演を行うことも知らされる。お姫様を意識した演出を考える律子に対して、貴音は「自分らしいステージを望まれるなら、その期待に応えるのみ」と返す。

 しかし映画を見終えた後、みんなで感想を言い合っていると、微妙な表情の貴音がプロデューサーに話があると切り出した。二人きりになって彼女が口にしたのは、ある「わがまま」で──というもの。

 

 今まで周囲の期待に応えながらアイドル活動をしていた貴音が、映画を見たことで、自分も好きなものを曝け出したいと思うようになった。が、とはいえ幾らかの不安は残る。

 それを、プロデューサーと、1話目ではなかったアイドル仲間たちからの後押しもあって乗り越えるストーリー。

 普段は高貴に振る舞い、劇中でも言われている通りわがままとは程遠く見える貴音だが、実際には可愛いものなどが好きな女の子の部分もちゃんと持ち合わせているのである。それに何より、自分の好きなものを発信して、それでファンを喜ばせられるのだろうかと悩む貴音が、何より可愛いじゃないかと。私はそう言いたい。

 

 あとそろそろ言ってもいいだろう。Pは貴音を口説いているのか?

 

⑶ メインコミュ第117話「ひとひらの花びら」(歌唱曲:風花)

流れとしては──劇場の面々がツアーで外へと出払う中、貴音ら5人にも音楽フェスへの出演依頼が届いた。多忙なプロデューサーに代わって当日彼女らをまとめ上げたのは、貴音だ。メンバーたちから感謝と賞賛の言葉を受ける中、彼女は一人難しそうな顔をしていた。

 それからすぐ、「1週間ほどで帰る」と言い残し、貴音は京都へと旅立った。

 やよいらの心配に後押しされつつ、プロデューサーはその1週間後に貴音に会いに行った。彼女が当然京都へ行った目的は──というもの。

 

 やっぱりイチャイチャしてるよね! ねぇ!

 

 前回、アイドルとしての方向性──つまり、周囲から求められる姿と自分の出したい姿とのギャップに悩んでいた貴音だったが、それにまつわる話がまた一歩進んだものが主軸となっている。

 周囲から慕われ、求められる役割を、貴音自身もはたせていると思っている。しかしそれは何故なのか。貴音は何を求めてアイドルになったのか。

 それを求めて京都へ戻ったものの、だが答えは出ない。貴音は、何か目的地があってアイドルをやっているのではない。ただアイドルがしたかっただけなのだ。それもアイドルのみんなと、プロデューサーとともに。

 

 それはそれとして砂糖多すぎないか?

 

お気に入り・好きなシーン

やよい⑴

 

メンバーの中で1人強烈な違和感を放つ者

f:id:mt_million_s:20230710202720j:image
f:id:mt_million_s:20230710202717j:image

 

ダーって何よ!
f:id:mt_million_s:20230710202652p:image


やよい⑶

 

男だったのか

f:id:mt_million_s:20230710202733p:image

 

お疲れやよい

 

真⑴

 

まつりひ目

f:id:mt_million_s:20230710202726p:image

 

真⑵

 

到底アイドルの振り付けとは思えない掛け声

f:id:mt_million_s:20230710204445p:image

 

伊織⑴

 

真面目なしほぽよ
f:id:mt_million_s:20230710202757p:image

伊織⑵

 

でこちゃん
f:id:mt_million_s:20230710202659p:image

伊織⑶

 

イケPといおりん
f:id:mt_million_s:20230710202745p:image
f:id:mt_million_s:20230710202739p:image

貴音⑴

 

ニンジャ……!?
f:id:mt_million_s:20230710202803p:image

貴音⑵

 

ツンデレなお姫様
f:id:mt_million_s:20230710202705p:image

貴音⑶

 

恋しますよっ
f:id:mt_million_s:20230710202712p:image

ミリシタメインコミュ感想(アイドルID 01~04)

せっかくのミリオン10周年なのに何もやらないのは面白くない!ということでメインコミュを完読することに決めました。

その記録的な意味で感想を綴っていきます。

……何ヶ月かかるかな

 

 

・01 天海春香

⑴ メインコミュ第68話「今も、まだ……」(歌唱曲:キラメキ進行形)

流れとしては──春香の子供時代の夢が話題に。『アイドルになりたい』という夢を、未来はもう叶ったと言うが、春香本人はまだ納得のいかない様子。

 その傍ら、春香のやっていたミニコンサートツアーのファイナル公演を、劇場で行うことが知らされる。アイドルとしての自身はまだまだだと思う春香は、まつりや朋花の真似をして表現の可能性を模索する。未来にも新しい教えを乞うものの、良い答えを見つけられず、未来は宿題にしてほしいと返す。

 そしていよいよツアーのプレファイナルも終わり、残すは劇場公演のみ。ファイナルに向けて気持ちを高めている春香に向けて、未来は宿題の解答代わりに、春香のステージの感想を伝える──というもの。

 

 パッと見ると未来のメインコミュでは?というような面もあるのだけれど(「もっとアイドルになりたい!」という答えを未来は自分自身で見つけてしまっているし)、ちゃんと読み解いてあげれば、春香のメインコミュとして構成されていることが分かる。

 例えば朋花やまつりのように、自分なりのアイドル像をこれと確立させている娘に対しても、積極的にその魅力を習おうとしている。作中ではその練習も功を奏した(かも?)と言われているが、これが出来るのは春香というアイドルの像がやはりしっかとしていて、しかし外部のものを吸収できる柔軟性を持っているからだろう。

 そうして色々なアイドルの可能性を模索する春香の姿が、未来の言う「もっとアイドルになりたい!」の姿勢に繋がった……といったところか。

 

 バックダンサーに目を向けてみると、未来はともかく、朋花やまつりは前述の通り個性の強いアイドルとして呼ばれたのだろう。そして千早は全面的に春香の介護だった。ツアーライブに私服姿の彼女がなぜ当然のようにいるのだろう……。

 

⑵ メインコミュ第100話「アイドル、天海春香」(歌唱曲:I Want)

流れとしては──二つの舞台で、対極な役を演じ切った春香。彼女の次の仕事は定期公演のセンターだ。舞台で初めて春香を知った人に向けて、アイドルとしての姿を見せたいと意気込む彼女に対し、プロデューサーは公演のソロ曲として『I Want』を提案する。

 果たして、初めて春香のステージを見るような客もいる中で、『I Want』を披露すべきなのか? それで彼女の魅力は伝わるのか?

 レッスン中も周囲を気遣いながらどこか上の空の春香に、琴葉が声をかけた。春香が悩みを打ち明けたところ、琴葉は自分なりの解答を示しつつもプロデューサーへ聞いてみるといいと言う。

 その言葉に従って翌日、連絡をとってプロデューサーと二人きりで話をすることに。春香が『I Want』を選んだ理由を聞くと、彼から、春香のアイドルとしての魅力と、『I Want』に秘められた可能性について伝えられ──というもの。

 

 まずは『I Want』という曲に対してこのコミュをぶつけたことにアッパレ。

 こう言ってはなんだが、本曲はどうしてもネタ的な扱いをされることも多く、作中で春香自身も言っていた通り、歌唱者のイメージからはやや離れた楽曲である。そして実際、これまでPたちの間で本曲は、多くは「春閣下」を象徴する曲として扱われていた(もちろんそうではないと思うPもいたことだろうが)。

 ゆえに、メインコミュとして本曲を実装するのであれば、その「春閣下」にまつわるストーリーにしてしまう……という択も少なからずあったはずだ。

 しかもこのメインストーリーは、記念すべき第100話にあたる。ちなみに第99話は『Flyers!!!』。

 

 節目にもなるようなまさしくのタイミングに、天海春香を主人公とするメインコミュを持ってきて、しかも楽曲は『I Want』で、コミュの内容は「I Wantを天海春香が歌うことの意義」。挙げ句の果てにコミュのタイトルが「アイドル、天海春香」と来た。

 これこそミリオンの運営だ! いいぞー! もっとやれー!

 

 コミュの内容としても「何か特定のメッセージを伝えるのでなく、とにかく本気を伝える」という転換がなかなか面白い。⑴でも触れた春香の柔軟性にも繋がるだろう。天海春香というアイドルだからこその姿勢ではないかと、僕は思う。

 

⑶ メインコミュ第124話「あなたがいてくれるから」(歌唱曲:I'm yours)

流れとしては──最近様々な方面での露出が増えてきた春香の前に、春香のファンを名乗る不審な男が現れる。逃げ去る彼が落としていったものは、春香へのラブレターだった。

 以来春香は、「好きな人ができたら、アイドルを続けてもいいのか?」という悩みを抱えてしまう。公演のメンバーに相談すると、エレナ曰く「プロデューサーは、アイドルが恋をしてはいけないとは言わなかった」。

 そして、直接プロデューサーに尋ねると、「活動は難しくなるだろうが、恋愛を制限するつもりはない」との答えが返ってくる。

 果たして春香は、彼にどんな「返事」をするのか──というもの。

 

 これはアイドル各々に言えることだが、メインコミュの内容やそこで起こる問題は、周を増すごとによりディープに、リアルに描かれていく。

 例えば黒井社長が何か邪魔してきたとかなら今度放り込まれるのは溶岩か古墳時代か……と、ある意味ではいつも通りの展開で進めることができる。しかしより親密な、それこそ親族によって邪魔されたらどうだろう?

 前者は元々「悪」として設定されたキャラクターであり、彼にまつわる問題が起これば、彼を倒すことが問題解決につながる。しかし後者はけして「悪」として設定されたキャラクターではない(あるいは、アイドル側で悪と判断してしまうことができない)。どうすればその問題を解決できるか……どころか、物語によっては、解消できない以上問題とどう向き合っていくのがいいかという話にシフトさえする。

 このように、問題の質の変化によって、その後の大きな展開もまたガラリと様相を変えていく。

 さらに内容・問題の変化は、舞台の拡大と同時並行で起こっていることにも注目したい。

 センター公演を行う舞台は相変わらず劇場ではあるが、作中に出てくる場所や、アイドルの行っている仕事内容がより広範囲になっているのだ。世界観の掘り下げが進むにつれ、発生する問題はより深刻で難解なものになる。物語の基本ではあるけれど、ミリシタにおいてもこの規則が適用されている。

 枷はまだある。より複雑な展開・広い舞台を主題としながらも、朗読時間計算で合計30分以内にコミュの尺を終わらせなければならない(これは明示されている情報ではないが、現状全てのメインコミュがプロローグ+メインで30分以内に終わっているため)。

 以上のように、コミュのハードルは周ごとに上がるばかりで……という部分を考慮して本コミュを見ていきたい。

 

 まず問題提起として、「アイドルの恋愛」について触れている。その問題に対する意見の如何はともかく、問題に触れたという事実こそが何よりこのコミュを読んだPを驚かせただろう。

 もちろんこれまでのコミュでも、アイドルが恋愛の擬似体験をしたり、プロデューサーにあっさり告白してしまったりなどの事例はあった。だがそのいずれにおいても前提としてあったのは「アイドルは恋愛禁止」という、琴葉の張り紙のような端的な言葉である。

 実際アイドルが恋愛をするとどのような影響が出るのか、そしてアイドルの恋愛についてプロデューサーの立場は是か否か──について深く言及されたのは、僕の知る限り初めてだ。

 

 それからまた少しアレな話題ではあるが、いわゆる「ガチ恋勢」についても触れられているのも当コミュの特徴。

 本来は「ファン」という親しいプラスの存在であった者が、マイナスの面も見せるようになってしまう。一概に悪と切って捨てられない好例である。

 

 これらの問題に対して、提示された結論は「アイドルとして寄り添いたいことを伝える」というもの。部分だけ抽出してしまうと陳腐にも思えるが、作中では上記の態度を取る辛さ、そしてそれに返す春香の「私にとっては、アイドルが一番なので」によって思いの強さが表現されている。

 しかも今回のコミュ、これまでの2話⑴⑵と違って、春香自身がすでに結論を得ている。ただ言い出せなかったのは、春香自身、「誰かを好きにならない」ことに関して自信が持てなかったから。作中何度も語られている通り、好きになることは制御できない。

 そこでプロデューサーが「優先順位は変わっても良い」と助け舟を出してあげたところまで含めて、今回の騒動は丸く収まったわけだ。

 

 前述したハードルの高さもあって、構成的に以上の内容を一読で全て読み取ることができないのはなかなか辛いところではあるが……(これが書籍やそれに近しい媒体なら読み返すのに苦労しないのだけれど、如何せん読み返せてバックログだ)。

 それでも、一番大事な「春香の決意」については、十二分に伝わる内容だったと思う。

 

・02 如月千早

⑴ メインコミュ第47話「明日への軌跡」(歌唱曲:Just be myself!!)

流れとしては──歌織、美希、紬のセンター公演はどれも、華々しい結果に終わった。次に控えるはジュリア、恵美、静香3人の公演だ。打ち合わせの場所に偶然居合わせた千早と美希は、3人の舞台を見せてもらうことに。

 ステージを大成功で終わらせた後の楽屋にて、恵美や静香が千早を打ち上げに誘うも、「じっとしていられない」と千早は一人レッスンルームに向かう。

 一連の行動のわけについて、レッスンルームに合流したプロデューサーが尋ねると、千早は「歌と向き合って孤高に生きていくのか、それとも現在のように周囲に甘えて生きていくのか、どちらかを選ぶのなら……」との悩みを口にする。

 対して「どっちもやろう」と答えるプロデューサー。さらにそこへ、美希が現れて──というもの。

 

 第47話までの流れを抑え、それが千早の心情変化のトリガーになるというちょっと小洒落た手法が用いられているストーリー。

 あまり多く言葉を発さず、じっと沈思し、自分なりに得られた結論に沿って動くあたりが如月千早、という感じだ。しかしそのプロセスの中に「仲間のステージを見る」という過程が入っているのは、よく言われる「丸くなった」の部分だろう。

 歌われる曲も『Just be myself!!』で、まさしくミリシタにおいて、千早の最初の一歩を象徴するコミュと言える。

 

 それから、悩みつつ動く千早に対して、面白そうだからついて行くとふらふらする美希が二人らしい。「一人にしておかない」の文脈はここにも活かされているのか。後輩3人組のわちゃわちゃも見物である。

 

⑵ メインコミュ第102話「『蒼い鳥』」(歌唱曲:蒼い鳥)

流れとしては──定期公演を控えた千早に、密着取材が入ることに。普段ならそのような仕事は断る千早だが、今回のステージには記録を残しておきたいものがあるらしい。

 そんな彼女の披露するソロ楽曲は『蒼い鳥』。アイドル如月千早が初めてもらった歌だ。

 取材のインタビューで、なぜ今回『蒼い鳥』を歌うことにしたのか、その理由を問いかけられた千早は、上手く言葉がまとまらないと返した。

 その後のレッスンでは、周囲から可愛がられたり、合同でのレッスンを優先したりする千早の姿が撮られる。劇場ができて変わった部分もあるが、変えられない、変えたくない部分もある、と語る彼女。

 果たして千早は、今劇場で『蒼い鳥』を歌うことに、どんな意味を見出しているのか──というもの。

 

 言った通り⑴も特殊な流れを踏んでいるが、このコミュの構成も面白い。視点はほとんどインタビュアーのもので進む。しかも密着取材ということで、会話は不連続に、重要な部分部分を切り貼りして流される。

 本来会話には文脈があって然るべきで、特に日本語なんていうのは文脈第一の言語なのだが、それが上記のような形式を取ることで、こちら側はより読み取ろうとしながらコミュを追うことになる。

 

 その中で語られるのは、以前よりも柔らかくなった千早の態度と、『蒼い鳥』を千早がどう捉えているのかということ。こちらも⑴で触れられた「みんなに甘えながら、孤独に歌と向き合う」という姿勢を彼女が実践していることが見て取れる。

 『劇場』という舞台に立ってもなお、孤独な姿勢を決して崩すことのない様は格好良さすらあるが……それでもエピローグで、取材の映像を見せまいとする、等身大の可愛さも持ち合わせているのが今の如月千早だろう。

 

・03 星井美希

⑴ メインコミュ第45話「トクベツな場所」(歌唱曲:マリオネットの心)

流れとしては──次の公演のセンターを美希に任せようと、プロデューサーが控室にいた彼女に声をかけたところ、逆に翼とエレナのショッピングの計画に巻き込まれてしまう。それでも何とか用件を伝えると、美希は二つ返事で引き受けてしまった。

 さらにそこへ一本の電話。内容は「ある雑誌で、美希の特集号を組みたい」とのこと。引き受けた美希はメンバーと別れ、一人撮影に向かう。

 翼たち4人が何とかダンスを覚えたところで、遅れてレッスンに参加した美希は、なんと可憐のダンスを一回見ただけで完璧に覚えてしまう。翼、エレナと一度だけ合わせて踊ると、レッスンを切り上げて約束通りみんなでショッピングに行こうと提案する。

 一連の行動を見た翼は、美希のことを「余裕があって流石」と称賛したが、対して美希は「一生懸命覚えただけ」と返して──というもの。

 

 直近における星井美希というアイドルについて、その本心の部分をスパッと切ってしまったようなコミュだと個人的には思う。

 翼が作中でも言っていた通り、星井美希というアイドルに初めて接するとやはり「何でもできて余裕たっぷり」みたいな印象が付きがち(まあそういう面もないではない)だが、実際にはプロデューサーの言う「一瞬だけ本気を出す」がより近いだろう。美希自身その根の部分をあまり語らないのも、前者のような印象が付いてしまう原因だけれど、今回はその根っこをしっかりと掘り起こした。

 加えて「劇場をとても大切に思っている」という、やはりここも見えづらい美希の愛情も表現されている。

 美希の1話目のコミュとしては、読み取りやすさも含めて大変良いものになっているのではないか。

 

 また春香、千早、美希のコミュを通して見ると、それぞれの1話目には、3人の中からもう一人が出演していることが分かる。そしてそのもう一人は、センターの子をとても上手く支えてあげていることも分かる。

 今回は美希がレッスンを早く切り上げたところで、春香が彼女の意図をそれとなく教えたり、バックダンサー組に声をかけてあげたりと、細かい気遣いが光っていた。

 

 ところでどうでもいいことだけれど、実装曲は失恋曲なのに、それを一切感じさせないコミュが何ともシュール……。

 

⑵ メインコミュ第71話「君だけを見ているから」(歌唱曲:追憶のサンドグラス)

流れとしては──美希の新曲、『追憶のサンドグラス』が完成した。今度の曲も失恋ソングだが、美希は今まで失恋をしたことがないという。

 そして突然プロデューサーに告白をぶちかます美希。とっさのことで、プロデューサーも「そんなフリをしても失恋は学べない」としか言えず、美希は怒って帰ってしまう。

 翌日、伊織にこってり絞られながら、果たしてどうすべきだったのかと頭を悩ませるプロデューサー。そこに美希も出勤してくるが、彼女はプロデューサーを完全無視。

 気落ちしたプロデューサーがレッスンルームを離れると、美希もまた後悔の言葉をこぼす。果たして二人のすれ違いは、どんな結末を迎えるのか──というもの。

 

 1曲目で失恋要素どこ行ったーとか言ってたら、今度は美希が失恋するコミュをぶつけられた。どうなってんだミリオンライブ。

 

 それはともかく、美希のガチ目の涙声だったり、伊織のナイスフォローだったり、莉緒昴の完全外野感だったりと、今回のコミュもまた見どころが多い。もちろん美希に告白されるのも聞きどころだ。

 その中で繰り広げられる美希とプロデューサーの掛け合いは、お互いが本気なのにすれ違ってしまうまさに王道ラブコメの展開である。「もちろん!」とドヤ顔で入ってくるプロデューサーは流石に笑いどころだが……。

 とはいえ、このコミュで明かされる美希の意外なデリケートさは、ぜひ様々なPに知って欲しい。

 

・04 萩原雪歩

⑴ メインコミュ第55話「まっしろな気持ちのままで」(歌唱曲:ALRIGHT*)

流れとしては──次回の公演のセンターを雪歩が担当することに決まった。しかし多忙な彼女なので、亜利沙たちバックダンサー4人が積極的にサポートしていこうという話に。

 そこで亜利沙が取り出したのは、雪歩が過去に行った公演の映像だ。そこでバックダンサーを務めていた春香らの動きを参考にすれば、より効率よくレッスンが進められるだろうとの考えで、5人は映像を見つつダンスレッスンを行う。

 しかしレッスンは効率良くどころか、むしろ動きが噛み合わなくなってしまう。それもそのはず、ステージの大きさが違うために、立ち位置などもまた変わってしまうのだ。

 亜利沙は別の映像を取ってくるというが、それを制した雪歩は、ある「わがまま」を告げる──というもの。

 

 やはりALRIGHT*といえば、最初の「いぇぇぇぇい!」だろう。そしてそれに従うように、コミュの内容も雪歩の主張をメインに据えたものになっている。

 コミュの前半、バックダンサーたちがそれぞれ公演を成功させようと雪歩を気遣いつつレッスンを進めるものの、対する雪歩はむしろ全員が思いのままに動いてほしいという。そこに秘められているメッセージは萩原雪歩の芯の強さか。

 

 もちろん多忙な雪歩のカバーに回るような振る舞いは、良し悪しでいえば良しであって、決して怒られるようなものではない。だが最も大事なことは公演を成功させること。それに雪歩も、もう立派な一人のアイドルだ。

 より良いステージを作るために多少の無理は通す、雪歩とみんなならそれが出来る。

 何よりそのことを信じて発言した雪歩の気配りこそが、このコミュの中で最も……かもしれない。

 

⑵ メインコミュ第103話「私だけの勇気」(歌唱曲:Impervious Resolution)

流れとしては──雪歩たち5人に遊園地ロケの仕事が入った。それぞれ期待と不安の入り混じった反応を見せるなか、雪歩は浮かない表情を浮かべていた。

 そんな彼女にプロデューサーは、次の定期公演で、今までとは違うジャンルの新曲を披露しないかと提案する。そうして手渡されたのが、激しいハードロックの『Impervious Resolution』だ。

 その後、遊園地ロケ当日。誰がどのアトラクションに乗るかをクジで決めたところ、歩がジェットコースター、雪歩がお化け屋敷と二人の苦手なものを的確に引き当てる結果となった。幸い茜や美希のクジと交換してもらえたが、そこで雪歩は歩の、意外と苦手なものがあること、今でこそ立派になったものの最初歌唱も苦手だったことを知る。

 さらに育がどんどんアトラクションに挑戦していく姿を見て、雪歩はお化け屋敷に挑戦することに──というもの。

 

 1つ目のコミュがどちらかといえば雪歩の表面的な強さ、アイドルとして経験を積んでいくうちに鍛えられたメンタルを話題にしていたのに対し、今回のコミュはもっと内側の『折れない強さ』を話題にしている。

 雪歩の苦手なものといえば男性を筆頭に幾らか挙げられる。そしてアイドルの仕事をこなしていくうち、その苦手なものに何度も当たることは多少雪歩について知ったPならば想像に難くない。

 そしてさらに、苦手なものに当たると最初は諦めてしまうのが雪歩ではある。

 ただ、徹底的に追い詰められると、もはや振り切れて出来てしまうのも雪歩なのだ。

 

 今回は追い詰められたというより、後輩たちに負けていられないという、対抗心のような気概でその「土壇場精神」を発動させているのが、また雪歩の一つの成長だろうか。

 いずれにせよアイドル萩原雪歩のまた新しい挑戦が見られた良コミュだったと思う。

 

 時に、最後の金髪の人は、もしかするとそのうち萩原組に……? 

 

お気に入り・好きなシーン

千早⑴

ストイックな千早に対して、フリーダムな残り4人

f:id:mt_million_s:20230610193620p:image
f:id:mt_million_s:20230610193627p:image

雪歩⑴

かわいい桃子

f:id:mt_million_s:20230610193631p:image

春香⑴

ほ? ほ? わんだほー・ほ?

f:id:mt_million_s:20230610193644p:image

美希⑵

伊織に怒られる(理不尽)

f:id:mt_million_s:20230610193653p:image

千早⑵

ちーちゃん争奪戦争

f:id:mt_million_s:20230610193723p:image
f:id:mt_million_s:20230610193737p:image
f:id:mt_million_s:20230610193716p:image
f:id:mt_million_s:20230610193730p:image

雪歩⑵

エンエンクルリ……?

f:id:mt_million_s:20230610193728p:image

春香⑶

真、まことの王子様

f:id:mt_million_s:20230610193731p:image

MILLION C@STINGの振り返りと展望・矢吹可奈陣営

先日、MILLION C@STING(以下MCとも)の最終的な投票結果が発表されました。

戦いが終わってしばらく経ったとはいえ、公式で結果も出されて悲喜交交。本企画を上手く乗り切れたところ、少しコケてしまったところ、さまざまな陣営があるかと思います。

このブログが、それら上手くいかなかった部分を、以降の投票企画で失くす一助になればと思います。

 

といったところで導入もほどほどに、MCについてガンガン振り返っていきましょう。

 

 

──

MCの概要

まずはMILLION C@STINGの概要について。

過去3回の投票企画「THE@TER ACTIVITY」「〜 BOOST!」「〜 CHALLENGE!!」に続く、新たな形式の投票企画として、2023年2月、3月合わせて60日間に開催されました。

新たな形式、ということで挙げられるのが主に「2回戦方式」と「2役同時投票」です。

 

2回戦方式とは、これまでであれば「1ヶ月間中に、3つのドラマの配役をテーマとした投票を同時に行う」方式であったのが、今回は既存の形式に加え、第2回戦としてドラマを一つに絞り、期間も短くした投票が存在します。

ちなみに獲得した投票権は、第1回でも第2回でも使えます。つまり1回戦中に獲得した券を2回戦へ持ち越すこともできるのです。

 

2役同時投票とは、読んで字の如く、1枚の投票券で2役分に投票できるシステムです。

もう少し細かく言えば、1枚の投票券で「アイドル×役」を最大2種類選んで投票できます。ただし同じアイドル・役を選ぶことはできません。また同じドラマ内の役柄同士である必要があります。

 

これら二つの大きな変更点に加え、細かい点での変更も行われました。

まずは獲得できる票数やバリエーションが大きく増えました。

また、2回戦が増えたことから、単純に期間が2ヶ月に延びました(ただし途中で10日ほどの休戦期間あり)。

 

さらに、これはミリオンライブ公式の動きではありませんが、各陣営で使われる機能としてTwitterの「コミュニティ」が登場しました。

この存在についてはまた後の部分で語ろうと思います。

 

 

──

MCの流れ

MCがどのような形で進んでいったのかを、自分個人の動きなども交えつつにはなりますが振り返っていきたいと思います。

ここの内容はかなり丁寧に述べているので、早く結論を得たいという場合は読み飛ばして、まとめである「各動向への指摘」に進んでもらっても構いません。

 

投票企画『MILLION C@STING』の開催が発表されたのは、年越し前の2022年12月16日の生放送にてでした。その時点で、企画の開催だけではなく、投票に使われるドラマ・配役や、MC特有のルールなどについても説明がありました。

ちなみにこの日が金曜日であったことは、いまだに覚えています。というのも、僕自身は用事があって番組をリアルタイムで追えておらず、MCの開催を知ったのは翌日土曜日の昼間あたりでしたが、その時点でMCに関してポジティブなツイートなり創作なりが一切見当たらなかったのです。

特に可奈のMC関連のツイートは(検索などもかけた上で)土日を通してゼロでした。他アイドルについてもほとんど同様ではありましたが、可奈の場合どうしても「終始目立たない」傾向がこれまでの投票企画で見られていたので、この時点でやや危機感を覚えていました。

 

とはいえ、投票企画が発表されてまだ数日。オープンな動きは見られなくとも、クローズドな場で何かしら行われているやも、あるいはそういうことをしたいと思っている人がいるやもという期待を込めて、MC発表の1週間後に次のようなツイートで軽くジャブをかけてみました。

ちなみにタグに使っている「MC〇〇」ですが、この時点で幾らかの陣営は動き出しており、それに習う形でつけています。前述の通りこのタグは、自分が使うまで誰も使っていません。

 

さて、このツイートをした結果ですが、見事「そういうことをしたいと思っている人」から声がかかりました。そこで、自分を含めた数人が旗振り役として、12月末から可奈陣営としてのスタートを切ったのです。

 

とはいえ、しばらく大きな動きはありません。先ほども述べた通り、可奈×〇〇役のツイートはあまり見られなかったためです。

例えばここで「可奈の〇〇役良いよね!」みたいなツイートが出回っていれば、その辺りを中心に宣伝・会議を進めることができたのですが(ちなみにこの動きがこの時点で出来ていたのが育・歩など)。とはいえ出ないものは出ないので、旗振りとしてここで出来る動きは「待つ」のみ。

 

一方、将来的にどうしていくか、つまり動向や企画の予定についてはある程度内容を詰めていました。

過去企画の話になりますが、20181021日の感謝祭で発表されたTHE@TER challnege(TC)は、その後1212日の生放送で配役も発表され、1週間後の19日から1ヶ月間にわたり開催されました。感謝祭内の告知自体は「THE@TER challengeをやる」というもののみで、それ以外の細かい情報は全く無かったです。

その前の投票企画THE@TER boost(TB)に至っては、企画の発表が投票開始日の前日というスケジュール。

これらの事実から、MILLION C@STINGについても相応な過密スケジュールで、具体的には年明け1月下旬のイベントと同時に投票企画が始まると予想していました。ちなみに1月14,15日は9th LIVEです。ここのライブで投票企画について情報が出るのは予想できていたので、素早い動きにも対応できるよう可奈陣営のdiscordで同時視聴企画を行ってあらかじめ人集めなどをしていました。

 

しかし現実にライブで発表されたのは、投票企画は1月31日からの開催。つまり2月上旬のイベントとの同時開催です。

しかも新たなルールが幾らか追加され、早めに動いていた可奈陣営ではありましたが、ここからの動きに少し滞りが生まれることとなります。

 

ライブでMCの開催に具体性が生まれると、12月の発表から全く動きを見せていなかった陣営も、少しづつ投票企画に向けて動き始めました。

ここでキーになったのが「Twiiterコミュニティの設立」です。

コミュニティについては後々詳しく説明しますが、簡単にいえばグループで作るタイムラインのようなものです。

TCまでの投票企画では用いられていなかった(というか、そもそもこの機能が存在していなかったはず)のですが、12月中にいくつかの陣営がコミュニティを積極的に動かし、それに倣う形で他陣営もコミュニティを建て始めました。

可奈陣営はというと、この時点ではコミュニティ運用にやや消極的でした。12月中に集まった可奈陣営ですが、その会議などには前述の通りdiscordを用い、宣伝にはTwitterでタグ宣伝をするというクラシカルな動きを取っていました。

一応、各陣営がコミュニティを建て始めたことから、可奈陣営もコミュニティを作りはしましたが、積極的なコミュニティの活用には至りませんでした。

 

こうして、MCの第1回戦が1月31日に幕を開ける──と言いたいところですが、無視できない動きがもう一つ。

それが、今回の投票企画の大きな特徴の一つである「初動一斉投票」です。

一番初めにこの企画へ着手したのが桃子陣営でした。その後、育、未来、春香、このみなど幾らかの陣営が初動で一斉投票を行うことを発表。

ちなみに、開始前時点で可奈陣営は「新人ナース(犯人)」役へ舵を切っていましたが、ここの対立候補が未来陣営です。

 

可奈陣営としては、ここの初動一斉投票は『行わない』ことにしました。理由はコンベンションセンター(以下コンベ)にあります。

投票企画になくてはならないコンベですが、MCでは、というかMCでも投票開始と同時にゲーム内に設置されました。可奈陣営はこのコンベを丁寧に扱いたいという方針のもと、役や企画についての決定を全てコンベで行うことにし、初動一斉投票は間違いなくコンベで会議できないため企画として無し……といったところです。

 

こうしてやっと、MILLION C@STING第1回戦の火蓋が切られました。

可奈陣営はやはり「新人ナース」狙い。同じく「新人ナース」を狙う声が大きかったのは、未来陣営、真陣営などがあげられます。このうちで初動一斉投票を行っていたのは未来陣営のみ。

初日の票は、次のように動きました。

上から未来、真、可奈の票です。途中までしかデータを取っていませんが、最後22時時点で未来と可奈とは5万票以上の差があります。

この5万という票差がMCにおいて如何程のものかは翼の一斉などで後々明かされますが、1日目の投票を終えて、可奈陣営の中では「新人ナースからは撤退すべきでは」という声が上がりました。

 

では撤退してどうするのかというと、ここで出た意見としては二つ。一つは「2回戦である悪役?令嬢での役獲得を狙う」、もう一つは「新人ナースではない1回戦目の役獲得を狙う」です。ただ二つ目の意見はそこまで支持されるものではなく、実質「新人ナースに残るか、2回戦目のピュア?令嬢を狙うか」の二択になりました(2回戦目に行くならピュア?令嬢、ということについては投票開始前のアンケートで決めていました)。

 

そしてこの二択を問うアンケートが設置されたのが2月3日のこと。

その2日後、2月5日に、可奈陣営は改めて「ピュア?令嬢を狙う」という意思のもと企画を開始していくことになります。

 

ちなみにですが……。

ここまで可奈陣営は、「票を集める企画」を一切やっていません。つまり、企画については、やっていないに等しい状態です。

ということで可奈陣営が主催する初めての企画。

それが「合同ライブでの名刺配り」になりました。

 

やることは簡単。合同ライブに集まったPに、「可奈×ピュア?令嬢」をモチーフとした名刺を配るだけ。

企画立案時点では、2日合わせて500枚でも配れれば上出来だろうと予想し、しかし念の為1000枚刷って会場へ。初日はトラブルで配ることができず、企画はday2のみの開催となり。

結果、1000枚中950枚以上を配り、企画としては大成功に終わりました。

 

この成功には、大きな意義がありました。

現実的に得られる票数としては、あまり高くないでしょう。というのも、1000枚名刺を配ったとして、可奈に入れてくれる人が1000人増えるかといえばそんなことはなく。おまけに会場が「アイマス合同ライブ」である以上、そもそもミリオンをやっていない人にも名刺は行き渡るでしょうし。

しかしキャパ5万の会場で1千人にアピールをし、それ以外にも「可奈陣営が何かしている」と遠目に見たPもいるでしょうから、その影響力による仮想的な票、いわば「応援票」は間違いなく大きく得られたはずです。

それに加えて、本来想定していたものを大きく上回る結果を得て、可奈陣営内部のやる気も高めることができました。

 

余談ですが、合同ライブで他に配りものをしていた陣営としては歩、真、ロコなどがあげられます。特にロコは名刺どころか冊子を配るほどの力を入れ、そのクリエイター力・アピール力が、第1回戦での巻き返し勝利に繋がったのかなと勝手に思っています。

まあ1000枚も配ったのは可奈陣営だけでしたがね!

 

大きな山を一つ登った可奈陣営は、その後もスクショ投稿企画などを立て、上手い具合に陣営を動かせていました。

さらに「ピュア?令嬢」へ向けて動くにあたり、また新しい動きが生まれました。

それがTwitterコミュニティへの積極的なアプローチです。

 

始めはかなり控えめなコミュニティ運用をしていた可奈陣営ですが、第1回戦で戦っている各陣営の動き、それに外でMCを見守っているPたちの意見を見て、可奈陣営としてもコミュニティをちゃんと動かす必要があると判断し、各企画の宣伝や会議の議事録をコンベに残すようにしました。

コミュニティの方でも、discordには参加していないけど可奈陣営を盛り上げてくれるPが複数名いて、彼らの協力もあり可奈コミュニティは活発に動くようになりました。

 

こうして順調に事を進めていた可奈陣営ですが、とはいえこれは投票企画。対立候補の如何によっては苦しい結果を得ることもあります。

 

2月後半、第2回戦に向かう各陣営の狙いが明らかになったタイミングでは、可奈と同じく「ピュア?令嬢」役を狙うのが可憐、ひなた、昴、莉緒の4陣営でした。

このうち初めから(投票開始時から)第2回戦を目指していたのがひなた・可憐陣営です。昴・莉緒は可奈同様第1回戦で戦いながらも撤退した陣営になります。

この4陣営と戦うにあたり、まず重要視したいのは「第1回戦でどれほど、どのように票を消費したか」です。

この資料では、第1回戦で各陣営に入っていた票の様相をまとめています。

2/1の票は、投票開始してから丸1日間で入った票。2/28の票が最終的に集まった全票になります。そして3つ目の『B/C』の部分はというと、「(2/28の票)÷(2/1の票)」の値を示しています。

まず注目して欲しいのが初日の票。「アイドル×役」の単体で言えば、可奈の「新人ナース」役が最も高い票を得ています。

そして次にB/Cの商値の部分。これは逆に「可奈×新人ナース」が最も低い値を出しています。

これが意味するところは「可奈陣営は莉緒・昴陣営に比べ、初動で入れた人は多いながらも、その後撤退と同時に票を貯め始めてくれた人も多い」ではないでしょうか。当時の自分はこのデータを見て、そう解釈しました。

というところから、まず莉緒・昴陣営には票動向で勝てるだろう、警戒すべきは可憐・ひなた陣営であり、特に第1回戦で票をほとんど失っていないひなた陣営が最も危険だという結論に至りました。

 

実際Twitter上の宣伝や創作では、最も盛んに行われているのがひなた陣営、次点で可憐・昴であり、「可奈×ピュア?令嬢」のツイートはあまり見受けられませんでした。

ただ可奈の場合は特殊で、別の事柄に関するツイートを含めればひなたや可憐に並んでいたかなと思います。

それが「可奈に初めての1位を取らせよう」というツイートです。

TA可奈についてはここで説明するのも何ですし、まあ色々な意味で有名ですので、省かせていただきます。

ともかくその辺りの話から、可奈陣営を応援しようという人のツイートが散見されました。

陣営の旗振り役としても、言ってしまえばそれが一つの「強み」であり、投票に関わる動機でもあったため、そのポイントを活用しつつ第2回戦に臨みました。

 

そうして第1回戦が2月28日に終わりを迎え、2週間弱の間を置いて、第2回戦が3月11日に始まります。

可奈陣営の動きは、第1回戦のそれとは大きく様子を変えました。

まず第1回戦で行わなかった「初動一斉投票企画」が、陣営として正式に行われました。とはいえこの企画は他の大体の陣営がやっていたことなので、大きく影響があったかと言えばそれほどでもないかもしれません。

この戦略を取り入れつつ、問題の初日の票動向は次のようになりました。

見づらいですが、可奈が上(青線)、ひなたが下(橙線)です。

他陣営を書いてないあたりからも察せるでしょうが、初動一斉投票対決では、可奈が1位に躍り出て、次点にひなたが付きました。

ひなたに勝てるかどうかはかなり怪しいところでした。上のグラフでは、1日掛けて可奈は95万票、ひなたは82万票です。票差13万と、かなり突き放しているようにも思えますが、第1回戦の一斉投票の結果などを見るとあまり安心できる票差ではないように感じました。

特に可奈陣営の場合、ひなた陣営に比べると「アイドル×役」の推しどころが弱いので、そこで大きく捲られる可能性は否定できません。

 

とはいえ初動で1位に躍り出た可奈陣営。

次に打つ企画として、第1回戦で幾らかの陣営が行っていた「デイリー投票・投稿企画」も採用しました。票数は15票。

この15票という数字が何とも言い難いところで……。毎日ログインでもらえる投票券が3枚、デイリーミッションで5枚、お布施ガシャで5枚と、毎日もらえる票が最大でも13枚なので中途半端に足りません。

おまけに投票する際は、何票入れるかをこちらであまり自由に選べない(1,2,3,……,9,10,20,30……の選択肢から選ぶ)ので、15枚を一括で投票できません。

そのような理由から、企画としてはやや悪手な部分もあったのですが、それでもひなた陣営との票差を伸ばすことに成功し、3月15日中に票差は20万まで行きました。

 

そして迎える次の一斉投票戦は、投票が始まって1週間後の18,19日に起こります。18日はガシャの更新日であり、さらに19日からイベントも始まるということで、大体の陣営の一斉投票がここに集中していました。当然可奈・ひなたの一斉投票もここで起こります。

ひなた陣営の一斉投票は19日の17時から24時にかけて、可奈陣営の一斉投票が19日の21時から24時にかけてと、真っ向からぶつかり合う勝負となりました。

結果としては、途中票差を13万まで詰められはしましたが、1位を死守することに成功しました。ここで少しでも追い越されていれば勝負の行方はわからなかったと思います。

 

2回目の一斉合戦を終えて、ひなたとの差を明確に作りつつも、まだまだ油断はできない可奈陣営。スクショ投稿企画などの細かい企画を幾らか立てて陣営を盛り上げつつ、票差を24日には20万まで広げます。

 

ただ実を言うと、18,19日の一斉合戦が第2回戦全体での一番の目玉企画になっていました。というのも、20日以降で票を獲得できる手段としては毎日貰える13票と、イベント報酬の最大450票分だけであり。おまけにそのイベント報酬がもらえるのは3月27日で、この日はもはや最後の一斉投票が行われているようなタイミングです。

そこでの番狂わせも起こるところは起こるかもしれませんが、とは言えそんなものはごく一部だけ。大抵の陣営にとって最も大きな勝負は18,19日の一斉でした。

 

ということで、24日に広げた20万の差をそれとなく広げつつ。30日に可奈陣営最後の一斉投票をし、かっちりとその分の票差をキープ。

最終日3月31日には、他陣営の一斉もあってか可奈陣営には大量の票が入り、最終的にひなた陣営に80万を超える票差をつけて勝利しました。

 

全体でのひなたとの票差です。途中データが抜けているのは諸々の理由で取れていない部分です。

 

 

──

各動向への指摘

MCの中で見られた新たな動きについて、個々に詳しく振り返っていこうと思います。

 

Twitterコミュニティについて

<p id="a">まず、Twitterコミュニティとは何かについて。</p>

先にも述べた通り「グループで作るタイムラインのようなもの」であり、コミュニティに属している人間の、コミュニティ宛のツイートだけでTLが構築されます(要は日常ツイート的なやつは流れません)。コミュニティ内だけでのスペース通話もできます。

またコミュニティに属していない人でも、TLを見ることはできます。

可奈のMCコミュニティリンクを下に貼っておくので、コミュニティについていまいち分からないという人はぜひ覗いてみてください(爆破されていなければですが)。

https://twitter.com/i/communities/1605896557450366976

 

さて、MCに入って到来した陣営コミュニティ設立の波ですが、そもそもTCの時はTwitterにこの機能がなかった(はず)ので、MCで出来た波なのは当然と言えば当然です。

ただ注釈しておけば、MCの開催が発表された12月からコミュニティを積極的に活用していた陣営は少なく、瑞希、茜ぐらいのものでした。そして、その2陣営のコミュニティ運営の力の入れように押されて、1月にライブでMCの詳細が発表され次第、たくさんの陣営がコミュニティを設立した、という流れは間違いなくあったと感じています。

 

そして現実的に、このコミュニティという機能がMCにおいて有効に働いたかといえば、僕は働いたと思います。

これまでの投票であれば、陣営企画の宣伝をタグで行い、陣営外のPはそのタグで調べたり、あるいはTLに回ってくるダイマ資料で見たりなどして各陣営の盛り上がり具合を判断していました。それが、幾らかではありますが、コミュニティに属することで陣営の盛り上がりを知るという派閥も、投票前の1月末時点ですら見受けられました。

さらにTwitterの機能ということで、これまでであれば会議所といえばdiscordであったのが、より「入りやすい」場所としてTwitterコミュニティを用意できたのは一つ大きな改善点でしょう。陣営内部を盛り上げる場所としては確かに有用な機能だったと思います。

 

一方、以降の投票企画でTwitterコミュニティを使うべきか、については僕はやや懐疑的です。

現在投票企画で担当Pの集まる場所としては、「コンベ」「discord」「Twitterコミュニティ」の3つが挙げられるかと思います。

前者2つについて良い点、悪い点をあげると、主に以下のようなものがあります

よって、この二つを活用した陣営運用の基本は「discordで議論を進め、コンベで他の意見も拾いつつ最終決定を下す」になるでしょう。

 

と、このように考えた時、果たしてTwitterコミュニティですべきことは何があるでしょうか。確かにコミュニティがあれば、先にも述べた通り意見を拾いやすくなったり、陣営を盛り上げやすくなったりはします。

ただ、それをするためにはまず、コミュニティに十分な人数を集めることが必要不可欠です。

今回可奈陣営のコミュニティに集まったPは100人程度でした。他の大体の陣営も100ほどの人数でコミュニティを構成していましたが、明らかにコミュニティが盛り上がっていると感じさせるところには、200や300のPが属していました。

これは何も自然に集まったのでなく、コミュニティのモデレーター(旗振り役)が自ら声をかけて集めた数字です。

 

確かに盛り上がれば盛り上がるだけ良い機能として働くのは間違いありません。が、そのためにはまず盛り上げなければならない。サクラとまで言ってしまうと悪い表現ですが、旗振り役と一緒になってコミュニティを盛り上げる人間は間違いなく必須です。

そしてここまでやって得られるものが、宣伝効果の上昇、陣営内部のやる気向上ぐらいのものです。

 

コミュニティをdiscord代わりにして、そこで議論をするのはどうか、という意見もあるかと思いますが、僕はこれに関しては全く賛成できないです。というのはコミュニティが悪いというより、会議所としてdiscordが相当に優秀だからです。

日本語を投げ合うだけならコミュニティでもいいでしょうが、時間や内容をあらかじめ決めておいて、陣営内部に会議があることをやや強制的にでも知らせつつ、時には文字で時には音声で、司会あり書記ありの議論を進める。コミュニティでこれは、はっきり言ってムリでしょう。

 

それから極め付けは、外部の会議所であるということ。

TA~TCについて少しでも調べればすぐに出てくると思いますが、コンベでないところで決まる陣営の動きには、良くない感情を持つ人がどうしても出てきます。

であるからして、ただでさえdiscordという外部基地が一つあるにも関わらず、さらにもう一つ増やすのは火種になりかねないのでは……という不安は常につきまといます。

 

ただ今回のMCについて補足すれば、コミュニティで決まったことについての不満的な意見は、あまり見受けられなかったように感じました。

特に第1回目投票の初動一斉投票。あれは間違いなくコンベを通さない決定でしたので、下手すれば陣営の分裂に繋がりかねないと可奈陣営は判断しましたが、結果的にはどこかが「燃えた」という話は聞きませんでした。

TCまでであれば基本TwitterをやっていないPの方が多い、という話はあったんですが、ここ二、三年で傾向も変わったのかもしれません。

 

いずれにせよ、以降の投票企画でのコミュニティ運用については、陣営内部あるいは旗振り役の余裕と相談で行っていくべき、と僕は結論を下したいと思います。

別に悪い機能とは思いません。ただ、優先度はMCから少し下げても問題はないように思えました。

 

 

 

⑵初動一斉投票について

今回、ほとんどの勝負を決したと言っても過言ではない初動一斉投票。

この方策が大きな力を持った原因は、とても簡単で、「初動の票が多かった」+「2回戦方式」にあります。

 

 

まず初動の票が多かったという話ですが、第1回戦が開始した時点で、これまでであればデイリー票である数票(今回であればログインの3票+ミッションの5票で8票)だけが各自の手持ちにありました。が、今回はそこに「開催記念プレゼント」と称して、100もの票が全員に配布されたのです。

基本的に一斉投票は、各自が票を十分に持っているだろうタイミングで行うものなので、MCであれば初動に一斉を打っても成功する可能性が十分にあります。

 

そして本来であれば、一斉投票には2,3位陣営からのカウンター一斉投票があるものですが、今回の第1回戦の初動一斉投票に限って言えば、これへのカウンターを打つ判断は非常に難しいところがありました。

 

まずいきなり大量の票差がつくことで、精神的なダメージが大きいです。実際可奈陣営は初日中に5万の差を付けられました。

が、この差を少し真面目に検討してみましょう。TCと比較すれば、無課金でもらえるデイリー票は4倍に(1+1の2票から3+5の8票に)増えています。さらに1票で2役分投票できるわけですから、TCの1票はMCの8票に当たる計算になります。一票の価値が1/8になったわけですね。

すると5万票の差は、実のところTC基準だと6000ほどの差に収まっていたのです。

もちろんこれはかなり単純化した計算ですが、しかしMCが始まったばかりの一斉投票ということで、本来はもっと少ないはずの票差を、TCでの票感覚から抜け出せずにプレッシャーを感じてしまう部分は、初動一斉をされた側には少なからずあったでしょう。

 

そしてこれに拍車をかけるのが2回戦方式です。

相手が打ってきたのは初動一斉投票なわけなので、当然第1回の投票は始まったばかり。しかも自陣営はまだ一斉をしておらず、陣営内部で失った票はかなり少ないでしょう。今なら別の役を目指すこともできる、何なら2回戦目というちょうどいい「逃げ道」がある。

 

しかも初動一斉をされた側の初動は、陣営内部での話し合いが十分にできていないか、話し合いをなるべくコンベで進めたいかのどちらかの状態にあったはずです。

初動へのカウンターを打とうにも、そこから三、四日かけて一斉を打って、果たして超えることができるかどうか(そして実は超えることもできた、というのが翼陣営の見せた素晴らしい手腕だったりしますが……)。

 

以上のような理由もあって、初動一斉を打たれた側としては「大人しく引き下がらざるを得ない」状況に追いやられていたのです。

ですから、初動一斉を「打つ」のが強いというより、初動一斉を「打たれる」のが弱いと言った方が正しいかもしれません。

 

とまあ、このような理由で初動一斉は強かったわけですが、以降の投票企画になるとまた話は変わってくると思います。

第1回目の最初の一斉投票を、本当に一番強く打ちたいなら、始まってすぐではなく初日の21:00~にすべきでしょうし。

また「開催記念プレゼント」とやらの有無も大きな問題にはなってくるので、状況を判断して打つべきでしょう。

少なくとも最強の戦略では決してないです。

 

 

 

⑶ペア投票について

上二つは新しいとは言いつつも、これまでの投票企画で似たものが行われた動きでもありました。

一方でこのペア投票については、MCならではの戦略になるでしょう。

 

ペア投票とは、MCの特徴である「2役同時投票」という形式を活かして、その2役をいわゆるカップリングになぞらえて宣伝・投票する戦略のことを言います(ただしここでいうカップリングはかなり広い範囲の意味を含む)。

これは、MCで使用されたドラマ「現代伝奇ホラー」の関係図です。

MCでは役柄の人物像が、「〜な人物」などと直接表すのではなく、図のように役柄同士の関係性によって示されました。

あくまで2役同時に投票できるという形式に定められているだけではあるものの、役柄同士の関係性に投票させたいというような運営側の意識も感じられます。

 

このような理由もあって、各陣営内部では「ウチのアイドルと〇〇を組ませてアピールするのはどうだろうか」という声が上がったはずです。

さらに実際、その方面でアピールしていた陣営も決して少なくなかったです。

 

ただ、結果だけで判断すれば、このペア投票という戦術は必ずしも有効とは言えません。

例えば今回可奈陣営の「相手」であったひなた陣営は、響陣営と組んでペアでの一斉投票を行っていましたが、最終的にはひなたも響も惜敗という結果になっています。

 

そもそもこのペア投票、というか「カップリングを組んで宣伝・投票する」という方式自体は、TA~TCでも少し見られたものです。

じゃあ、その時のペア投票がどのように見られていたかと言えば

「カプで組んでもお互いに必ず同じだけの票が入るとは言えない。むしろ本来得られる出力の半分程度になってしまうし、おまけにカップリングで組むことで陣営内部から離れてしまう(解釈違いなどにより)人も出てくる」

と散々な評価を食らっていました。

 

この指摘に対しては、MCでは多少改善されています。

票が各自「手持ち×2」票持っているわけなので、カプで入れてもらえるならお互いの陣営に同じだけ票が入ります。

一斉投票における出力の半減については、MCでは問題になりません。

 

ですが、やはり後半部分。つまり「カップリングを組むことで離れてしまう人」の存在は無視できませんでした。

彼らの離れてしまう理由をもう少し詳しく説明すると

・先にも述べたとおり解釈違いで

・そもそも(〇〇担当のP数)>>>(〇〇担当でもあり△△担当でもあるP数)なので、前者から後者に移れば、解釈違いでなくても陣営内部の気力は落ちる

・外部から見た時の「〇〇のA役」でなく「〇〇と△△のBという関係性」に投票することのハードル

など、さまざまな立場から、さまざまな理由で離れてしまうのです。

 

このような点から見て、単にペアでの宣伝をしていれば票が2倍になって勝てる、みたいなものではありませんでした。

が、それでもやはり投票形式として、同時に2人に入れる必要性はありましたので、そこで強いムーブとして挙げられる一つが「色んな陣営の企画に乗ることで、その陣営の人間から『2票目』で入れてもらう」ことです。

2票目というのは、自分の担当・推し・応援しているアイドルに入れる票を1票目とすれば、もう一人誰に入れたいかの票に当たります。

つまりこれは浮動票なんですね。

この部分の浮動票を集めることが、MCの中では一つ重要なポイントであったと思います。

 

ともかく、ペア投票については、どのようなペアをどのような相手に向けてどのようにアピールするのか、その辺りを慎重に協議すべき戦略です。

 

 

 

⑷その他

上記3つが主に大きな動きとして各陣営で見られたものですが、その他にも細かいところでTA,TB,TCからの戦略の変化が見られたので、少しだけ紹介しようと思います。

 

まずは毎日投票(デイリー投票)。この企画自体は前にもありましたが、MCではより多くの陣営で見られた動きとなりました。

企画の主な目的は陣営の盛り上げという面が一番大きいでしょう。特に今回は企画が実質2ヶ月も続いたので。ただ、上手く票をコントロールすれば、毎日投票だけで結果を決められることもなくもないです。

 

続いて一斉投票のタグの統一化。これは完全に新しい形です。

今までであれば、一斉投票ごとに企画名・タグなどを考え、それを毎回宣伝していくというものでしたが、統一化することでその2回目以降の退屈な会議をなくすことはできます。

が、正直どっちでもいいと思いました。余程良いタグが思いつけば統一化してもいいと思いますが(翼の『ツバチャ』みたいな)、無理に統一化の方向へ進めるほどではないでしょう。

 

 

──

次回以降の投票企画に向けて

少し話題を進めて、投票企画でどのように動いていくべきか、その指針を自分なりにまとめてみました。細かい戦略の話は大体【振返り編】でやったので、ここではより全体的・心情的な部分を。

 

⑴陣営を問わず言えること

・まずはなるべく早めに動く

今回の投票企画は、企画が発表されてから始まるまで、例年に比べてかなり長いスパンが空きました(TBの企画発表翌日に開始とかはむしろ早すぎると思いますが……)。

結果、各陣営の動きの早さに、かなりの差が出ていたように思います。

早く動けばそれで良いというものでもありませんが、早く動けなかったがために良いスタートが切れず、初動の一斉投票の強さもあって負けてしまったような陣営を、今回もいくらか目にしました。

もちろん企画開始前に限らず、早めにできることは早めに済ませておきましょう。

 

 

報連相はきっちりと

言ってしまえば、投票なんてのは「ゲーム内の一企画」にすぎず、あまり真面目にするのもそれはそれで悪影響になりかねません。

ただ人を動かすという立場にあるなら、各所へキチンと情報を伝えることは必須です。

例えば企画をいつやるのか。

例えば会議をいつ開くのか。

例えばどの役に向かって動いていくのか。

もちろん伏せておきたい情報もあるでしょう。が、それは「発信しない」のではなく「どこそこの人にのみ伝える」という形で、やはり誰かに発信されるべき情報なのです。

報連相はして損することはありません。いやむしろ、伝達の上手く行く陣営ほど、より良いアピール・連携をすることもできる陣営です。

自分自身で発信していくことはもちろん、陣営内の人間にも発信させることを忘れないでください。

 

 

・各会議所を使い分ける

投票企画では、様々な場所で議論が起こります。ゲーム内コンベやdiscordはもちろん、Twitterの個人のリプ欄内ですら起こり得ます。

ここで大事になるのは、どういう目的でその会議所を使うか、です。

例えばコンベは、全てのPが集まる場所なので、そこで得られる結論はすべて最終決定案になるはずです。

したがって、コンベを会議所として用いる目的は「陣営の最終決定を行う」であり、それが定まれば自然、コンベ内でどのような議論を展開していけば良いか、あるいはコンベで出来ない・しづらい議論をどこですべきかについても定まってくるはずです。

あまり外には出したくない議論であれば、身内のみが入れるdiscordサーバーで行う。

積極的に伝えていきたいなら、Twitterでタグやコミュニティを活用する。

面倒な部分なので無理にこうと定める必要はありませんが、会議所の目的を見据えることで、先にも述べた「どこそこの人にのみ伝える」情報発信などもより円滑に進められるでしょう。

 

 

・人を集める

投票における戦略はさまざまですが、とはいえ人数は正義です(後述)。ただ票を集めるだけの企画も大事ですが、人集めのための企画も忘れないように。

 

 

 

⑵可奈陣営について

ここでは可奈陣営に特に話を絞り、MCまでの投票企画から想定される可奈陣営の特徴について書いていきます。

 

・人が少ない

この点は明白であり、認めざるを得ません。

投票企画で1位を取るためには52人中15人なり20人の中に入る必要がありますが、マンパワーだけで言えば可奈は入りません。

自分の中の感覚ですが、担当が可奈だけ、というPは結構少ないんじゃないでしょうか(かくいう自分も担当は可奈含めて二人です)。

複数担当している中で可奈も担当ではある、しかし他の担当が投票企画で盛り上がっているために、可奈に入れる票がない……みたいなことは、可奈に限らず人数の少ない陣営で、自然と想定される流れです。

このような人員不足を解消するには、やはり可奈陣営を人一倍盛り上げていくことが必要でしょう。

今回可奈陣営の取った「他陣営の企画に全力で乗っかる」というムーブは、可奈陣営自体の盛り上げはもちろん、その盛り上がりが他陣営を通して各所に伝わるという点で、この「マンパワー不足による拡散力不足」を上手く解消できていたのかなと思います。

 

ちなみに、人数が少ないことは基本的に人的資源の不足という点でデメリットですが、メリットもあります。

それは陣営の動きの速さです。

人が多い陣営は、それだけ一つの決め事をするのに時間がかかります。ですので、競争相手の動きに対して柔軟に動けるのは一つの強みではあります。

 

 

・映画やBCなどにより、比較的名前を「知られて」いる

前述の通り陣営内部の人数は不足しがちな可奈ですが、一方で陣営外部の「可奈を応援したい!」という層は結構いるように思います。あるいは、ライト層で可奈を応援してくれる人たちですね。

例えば合同ライブで名刺を配った際、ミリシタはあまりプレイしていないけれど映画を見て可奈のことは知っている、という人もちらほら見かけました。また、BC関連で大きな話題が出ると、おすすめトレンドに乗るというようなことも多いです。

このようなことから、映画やBCなど、ゲーム外のコンテンツを活かした宣伝が(他の子に比べると)しやすいのが可奈陣営の持つ強みでしょう。

ただ一方で、そのような露出があるからこそ、他の子にもっと出番を……という声もあるので、この点だけで宣伝していくのは難しいです。

 

 

・陣営内部の空気感

可奈陣営には、派手な議論をコンペなどで堂々繰り広げる、といった流れはあまり好まれない(もしくはそもそも乗ってくる人がいない)ところがあります。

ただそれだからと言って決して意見が無いのではなく、ある程度意見の出せる流れが出来ると、埋もれていた声がどんどん出てくるようになります。

なので旗振り役としては、こちらから陣営の指針を示しつつ、拾える意見を丁寧に拾っていくことが重要です。

 

 

・企画案

可奈陣営で立てる企画としては、やはり歌をコンセプトにすると良いです。例えば

「#僕のおまじない:自分を元気づけてくれる曲、勇気が出る曲を募集する」

など。

他にもプチシュー・パンケーキといった甘いものでも、良い企画を立てられるでしょう。

ちなみに企画の立て方ですが、まずは陣営内で企画案を可能な限り集めます。案は何個あっても困りません。

そして、企画が必要になったとき、案の中から良さげなものを選出して実施します。

投票期間は現状30日程度です。長いように思えますが、この間に出来る大きな企画は6個が良いところでしょう。なので、企画一つ一つをクリティカルに行っていく必要があります。

ただ一方で、その都度企画内容を考える……というのも時間がかかるので、先に集められるだけ集めるべきです。

 

 

 

──

総括

最後に、旗振り役として動く一個人には、「投票企画へのモチベはどこにあるのか」を意識することをお勧めします。

担当に役を持ってきたいという意気込みはもちろん、頑張っている同担の支えになりたいという思いもあることでしょう(むしろ旗振り役で後者のモチベで動く人は多いはず)。

このようなゴールを決めておけば、長い投票期間でも乗り越える糧となりますし、何より自分自身の動きも軽くなります。

そして、周囲を巻き込み、周囲に流されるという姿勢。自分の周囲の流れをそれとなく促しつつ、読むべき空気はちゃんと読む。時には心苦しい選択を受け入れることも必要となるでしょう。

 

投票企画の期間中は、結構いろんな人がナーバスになります。それは単に「勝負事」の真っ最中だからという理由に限らず、初めて会う人とも円滑にコミュニケーションを取る必要がある、もっと言えば彼らに指示を出す必要が出るからという理由もあります。

ですので、まずはその辺りへの気配りは決して忘れないように。

 

これまで述べた細かい云々もあって投票イベントは忌避されがちなものではありますが、それでも自分の担当に役を取ってきたという達成感、あるいは自分の担当が色んな人に愛されていることを知る喜びは、他の何にも変えられません。

陣営を動かしたいという方は、ぜひ頑張ってください。

ミリオン9th_day1が最高すぎた話

ミリオン9thLIVE『ChoruSp@rkle!!』day1が、先ほど終わりました。

 

やばすぎた!!!

もう色々やばかった!!!!

 

てテンションで、感想を書き綴りたいと思います。

 

 

稲妻スピリット

ソロ曲としてはスタートダッシュを切る形になったこの曲。奈緒のダンスパフォーマンスはいつ見てもキレッキレですね! 

間奏のセリフ含め、めちゃくちゃカッコいい開幕でした。衣装似合いまくってたぞー!!!

 

絵羽模様

一番うるっときた曲かも?

エミリーのソロとしては珍しいアップテンポな曲調でしたが、それを歌っている姿に思わずホロリ……。全力でステージを楽しんでるエミリーって、なんかめっちゃいいですよね……。

 

折紙物語

かーらーのこの曲。

CDでも思いましたけどこの曲歌詞やばすぎませんか??

紬お前そんなこと言っちゃうの?が現地でも蘇りました。エミリーからの流れという面も多少はありましたが、それにしても非常に良いパフォーマンスだったと思います。

 

キミが真ん中にいた

悪い意味じゃなく、教育番組の公開収録で出てくる歌のお姉さん感がやばかった。

子供としての育、という面がパフォーマンスに非常に多く取り入れられていて、別の面から見れば『育は子供性を演じている』みたいなテーマにも繋がるのかな?と思わせられました。可愛かった…………。

 

恋のWa・Wo・N

絶対楽しいだろうなって思って行ったらめっちゃ楽しかったです。特にクラップ戦国時代の今、ガッツリ環境に刺さってましたね。

百合子がこの曲歌ってんのも可愛すぎるし、見れてよかった!

 

きまぐれユモレスク

箱崎星梨花が笑顔で楽しんでこの曲を歌う。完全に解釈一致でした。最高です。本当にありがとうございました。好き。

 

きみがくれた言葉があるから

自分はこの曲をCDで聞いていたとき、のり子のやや弱い面、切ない思いなどが表されている物悲しいバラードソングなのかなと思っていたのですが、ライブで印象がガラッと変わりました。

もちろん歌詞には少し重めの響きもありますが、それが力強く歌い上げられ、のり子の弱い面だけでなく、弱くも強くもある少女性が表現されているのだなと。

例えるなら『土の巨人』のような、そんなパワフルな曲の魅力に気付かされた一曲でした。

 

ふたり繋ぐ星座

歌うっっっっっっっっっっっっっっま!!!!!

に尽きるんですが、ただそんな中にも、こちらに手を振るなどライブを楽しんでいるような様子が見られ、『麗花だな〜』と思わされました。

いやでも歌うめえよ!!!!!

 

泣き空、のち

この曲は、多分最後になるんだろうなと思っていたし、それで泣いちゃうかもなと思っていたんですが。

実際には、『泣き空、のち』という曲を全力で楽しむ伊吹翼の姿に元気付けられたというか。

曲の歌詞に表されているような、明るい少女としての翼がそこにいて。翼はいい曲もらったな、と改めて思えました。

 

全体

セトリおかしくね????って今見ても思いますね。このセトリはおかしい。

ブレハモ別メンツで歌ってんのはまあ何とかわかるけれども、創造の時点で僕の頭はショートしました。その後永遠の花来て、もしかして4th意識かって思ったところに飛んでくる写真家リコッタ。

シーズン全体曲歌うとか聞いてねえし。ゲームバージョンなら4曲歌ってもええやろ!じゃないのよ。

じゃいと君花火あたりはもう笑うしかない。MTGまでフリーメンツで歌える今、セトリ予想は不可能になったと見ていいでしょう。

 

あと席ですね。実はいわゆる「見切れ席」、北西の2階C列に座っていたんですが。

MC中にも言われてました。「見切れも近いけど、アリーナも近いよねぇ?」って。

いやアリーナ最前と見切れ席って、普通比べられるレベルじゃなくない????どっちが近いか勝負できる席じゃないよね?????

色々ありますが、まあ要は神席引けましたってことです。

 

発表内容もかなりやばかった!

day1とは思えない密度。これ明日何すんのやってぐらい量多かったし。いやマジで明日何発表する気だ???

特にアニメの先行公開には笑わせてもらいました。なんでやねんって感じです。

ちなみにですが、先行公開第1弾の公開日8月18日は、矢吹可奈ちゃんの誕生日ですよ!!! やったね!!!!!

 

 

そんな感じで感想もまだまだつきませんが、正直あんまり期待してない自分がライブ前にはいて。そんな腑抜けた精神を吹き飛ばしてくれるほど、最高のライブでした。ありがとうミリオンライブ。

10周年も目前ですが、まずは明日のライブから!

期待度MAXで行ってきます!!!

箱崎星梨花と「きまぐれユモレスク」

 MS2の好きな曲語ろうぜシリーズ第二弾。

 今回取り上げたいのは、星梨花の「きまぐれユモレスク」です。

 

 この曲の魅力については、僕が色々変なことを言うより、実際に聞いた方がよっぽど早いでしょう。「悪質」とまで評される程インパクトの強い曲であり、ライブで歌う時はともかく、自分の家でイヤホンを使って聞くと、一種のASMRです。

 ただ、自分の思うにこの曲の魅力は、その「悪質さ」だけに止まりません。

 今回取り上げたいのは『箱崎星梨花のソロ曲』としての「きまぐれユモレスク」なんです。

 

 結構書き散らした感じになりましたがご了承……。

 

1、基本情報

 

 本曲は「M@STER SPARKLE2 09」に収録されており、作詞・作曲にmekakusheさん、編曲にtomgggさんを迎えております。

 mekakusheさんは伊織の新ソロ「ピンクローズアプローズ」から、tomgggさんは本曲からミリオンライブに参戦ということで、新生コンビらしい非常に革命的な曲!

 なお、前回の「泣き空」ではメロディや楽器にも触れました。もちろんこの曲もその辺非常に好みなのですが、趣旨として歌詞考察をしたいためやむを得ずカット。ぜひ実際に聞いて堪能していただければと思います。

 

2、歌詞考察

⑴ユモレスク

 さて、歌詞を考察していくに辺り、まず初めに手を付けたいのはタイトルの「ユモレスク」です。

 歌詞の中にも何回か登場するので、間違いなく曲のテーマに当たる言葉なのでしょうが、僕はこの言葉の意味を知りませんでした。

 で、ggってみたところ、どうも次の二つの意味合いがあるみたいです。

 

①1894年に作曲家ドヴォルザークが製作した曲集『8つのユーモレスク』の通称

②ロマン派音楽の楽種

(どちらもWikipedia参考)

 

 初めは②、つまり曲のジャンルとして「ユーモレスク」が使われていたが、①の曲が非常に有名になった結果、現在「ユーモレスク」と言うと大抵①を意味する……とか何とか。ウィーウィルロッキューみたいな曲が「ロック」って呼ばれるみたいなことですよね、すごい。

 まぁその辺の経緯はともかく、問題は、星梨花ソロでの「ユモレスク」がはたしていずれの意味なのか、というところです。

 結論から言うと、僕は②と捉えました。

 

 捉えましたと大仰に言いましたけれども、実を言うと①の意味合いについては、音楽に全く明るくない自分の調査力に限界がありました。

 もしかすると「きまぐれユモレスク」のメロディなんかで、①の『8つのユーモレスク』を参考にしている箇所があるのかもしれませんが、こればっかりは何ともかんとも。

 

 そういうわけである種消去法的に②を選ぶことになったのですが、ただ消極的な選択でもない、と言わせていただきたいのです。

 というのは、もし「きまぐれユモレスク」が②を採用していた場合、この曲はロマン派音楽をテーマとするような曲になります。

 ロマン派音楽とは何か?

 それは、19世紀ヨーロッパで、啓蒙主義に反発して生まれた、中世のロマネスク美術を理想とする音楽を指します。

 はい、ロマネスクです。「きまぐれユモレスク」の歌詞にも出てきましたね。

 

 このことから、大雑把に次のような関係の成り立っていることが分かります。

 

 

 曲内において、『きまぐれユモレスク』という言葉は「わたし」、つまり星梨花を象徴する言葉であるように描かれます。

 すると上の図式から、星梨花は『ふたりはロマネスク』に憧れる、すなわち恋の成就を願っているということが、音楽史とも関連させて描かれているんですね。

 

 ユモレスクの考察に関しては、めちゃくちゃ美しい!って感じには多分ならないんですけど、ただこういう意図があるんだって知るだけで面白いですし、ジャケットのテーマである「社会」にも関連してるのかな?と色々考えると楽しい部分だと思います。

 

⑵ラスサビ

 ユモレスクでも取り上げた部分ですが、改めてラスサビの歌詞を見てみましょう。

 

  ふたりはロマネスク

  たまらない気持ちになって

  今すぐ会いにきて

  連れ去ってくれてもかまわないよ

  ハートが溶けそうなほど

  熱いこの距離で

  いけないことをしよ

  わたしのこと、ねえ、好きでしょ

 

 フルバージョンが公開され次第、表現されるストーリーの強さに多くの担当が倒れたとか何とか。

 それはともかくとして、このラスサビの歌詞、よく見てみるとちょっと変なんです。

 

 上の8行の形式を元にして話すと、2〜4行目では、「あなた」は「わたし」のところへ来て「わたし」を連れ去る、というストーリー。

 次の5〜7行目では、「わたし」と「あなた」はとても近い距離にいる、というストーリーです。

 ここで、あれ?と僕は思いました。

 細かいところを突くようですが……前の3行では、まだ「わたし」のところに来ていなかった「あなた」が、後の3行になって急接近しています。

 間違いなく、全く別の場面に一瞬にして切り替わっているのです。

 もう少し詳しく考えれば、2〜4行目の場面で「わたし」は「今すぐ会いに来て」と受動的な態度を取る一方で、5~7行目の場面では「いけないことをしよ」と能動的な態度を示しています。この面においても、やはり二つの場面で明らかな対比が組まれていると確信できるでしょう。

 ではこの二つの場面で対比されて表現されているのは何なのか。

 それは当然、「わたし」の二面性であって、この曲で言うところの「良い子」と「悪い子」です。

 

 この「良い子」と「悪い子」の対比は、もう少し別の観点からも読み取れます。1番サビラストで

  良い子じゃないわたしの方が ねぇ、好きなの?

と歌っている一方、ラスサビでは

  わたしのこと、ねぇ、好きでしょ?

となっています。つまり、1番では「良い子」「悪い子」のどちらが好かれているのか気になっていた「わたし」が、ラストではどちらの自分も「あなた」に曝け出し、その両面性を持つ「わたし」自身が好きなんでしょう?と問いかけるのです。

 

 そしてこの「二つの面を持つ自分→二つの面が合わさった自分」という変化の構図は、実は先の音楽史でも似た構造が見られます。

 ロマン派音楽の説明で、これは啓蒙主義に反発して生まれたと述べましたが、実際には啓蒙主義を中心とする古典派音楽の技術を引き継ぐ部分もありました。ロマン主義文学(文学、芸術などのロマン派)との大きな違いはここにあります。つまり、主義はさまざまあれど、そのどちらも音楽という大きな総体の一つなのだから、技術まで否定することはないだろうと。

 星梨花の「良い子・悪い子」も、互いが互いを否定し合うような形で存在していますが、最後には元の星梨花の一部として描かれます。

 こう見ると、歌詞全体を通して星梨花の中の善悪がどう変化していったのか、かなり読み取りやすいのではないでしょうか。

 

3、箱崎星梨花という女の子

 以上のように歌詞の考察が色々できますが、僕がここで一番取り上げたい話題はコレ。

 アイドル箱崎星梨花が「きまぐれユモレスク」を歌うことは、果たして何を意味しているのか?

 

 本曲は当然、箱崎星梨花のために作られた楽曲であり、今まで9年10年の歴史を積み上げてきた彼女に渡すことを想定されています。

 そしてMS2シリーズの他曲に倣うのならば(倣えるならば、という仮定でしかないけど)、星梨花にとって挑戦的な曲であると同時に、本曲を歌うことで星梨花は一歩大きく、次のステージへと進むことができるのです。

 ならば、ここで考えたいのは、そもそも星梨花にとっての夢や目標が何になるか、です。

 

 ここからの話については、あくまで星梨花の担当でない人間が語ることを了承していただければと思います。勿論担当でないからと言って適当なことを言うつもりもありませんが、一応。

 ミリシタにおいては、メモリアルコミュ1で示された「広い世界が見たい」というのが、星梨花の持つ最も大きい夢に当たるでしょう。彼女の各ソロ曲においても、その色合いがよく見られると思います。

 一方でもう少し踏み込んでみれば、広い世界に星梨花が関わっていくためには、彼女自身が強い人間になる必要があります。箱崎家の父も心配する通り、ただ広い世界が見たいと願うだけでは、その広さに打ちのめされかねません。

 とすると、アイドル箱崎星梨花の目標としては「広い世界に負けないぐらい強い芯を持つ」が妥当ではないでしょうか。実際、星梨花自身の芯の強さ、別の言い方をすれば頑固さは、幾らかのコミュでフィーチャーされています。

 

 さらに議論を進めると、では「強い芯を持つ」にはどうすれば良いのか。

 僕はこの部分に、星梨花ならではのキャラ付けとして『恋』というキーワードが関わってくるのではないか、と思うのです。

 

 一番最初のソロ曲「トキメキの音符になって」では、恋をしながら成長をする少女の姿が可愛らしく描かれました。

 しかし「きまぐれユモレスク」を踏まえた今考えると、あのとき描かれた少女は、等身大の箱崎星梨花そのものだったのではないでしょうか。

 恋と共に成長すると言うのは決してメルヘンな意味合いでなくて、この現実世界にもいくらだって事例は転がっています。何より歌詞考察で上げた「ロマン主義」は、次のような思想が中心となっています。

 

真実は必ずしも公理にさかのぼりうるとは限らず、感情や感覚・直観を通じてしか到達し得ない世界には、逃れようもない現実がある。(Wikipedia『ロマン派音楽』より)

 

 この感情を『恋』に置き換えるならば、星梨花が恋を知り、新しい世界に辿り着いたとき、そこには彼女がずっと求めていた「広い世界」が存在しているのではないか?

 勿論アイドルが恋によって成長するというのは矛盾しているというか、かなり挑戦的なキャラ設定ではあります。でも、だからこその面白さが箱崎星梨花というアイドルに秘められているのだとも僕は思います。

 それに、恋をしながら成長する女の子って、それこそめちゃくちゃロマンチックじゃないですか。

 

 以上を踏まえまして、アイドル箱崎星梨花が「きまぐれユモレスク」を歌うことの意味とは、彼女の純粋でありのままの成長なのだと結論づけたいと思います。

伊吹翼と「泣き空、のち」

 さる11月30日、ソロシリーズ「M@STER SPARKLE2」が52人分完走しました。めでたい。

 どれも良い曲なのはもちろん、アイドルによっては新たなジャンルの曲にも挑戦していたりして。1月のライブが楽しみなところであります。

 

 その完走を祝して、とあるサーバーのdiscordにて『MS2の好きな曲語る会』的なのが開催されました。いろんな意見が聞けてめちゃくちゃ楽しかったんですが、如何せん自分の用意した資料は発表時間である5分に到底収まるものではなく……。

 自分としてもまだまだ語り足りない!と思いましたので、ここで発散していきたいなと思います。

 

 曲は、伊吹翼で「泣き空、のち」。

 自分は翼の担当ではないんですが、MS2の中でも1,2を争うレベルで好きです。下手したら担当曲より好きです。

 

 

1 基本情報

 まずは軽く「泣き空」の情報から。

 

 「M@STER SPARKLE2 06」に収録されています。

(ちなみに関係ない話ですが、このCD自体がめちゃくちゃ良いです。楽しい曲、かっこいい曲、おしゃれな曲……全部名曲です。自分はMS2内どころか、歴代のソロCDで一番好きかも)

 作詞に「恋のLesson初級編」「Marionetteは眠らない」などに携わったこだまさおりさん、作曲にこちらはミリオン初めての清水哲平さんを迎えております。

 1曲目書いた人がまた戻ってきて4曲目書いてくれるってだけで色々感情が湧き上がりますね。清水氏は、有名どころだとAKB48より「365日の紙飛行機」などに関わっているそうです。

 

2 ここがイイ!

 続いて、好きなポイントをまばらに綴っていきます。文脈も何もあったものではありませんがご愛嬌。

 

⑴翼には珍しいバラード系ソング

 翼のソロ曲、と言えば3曲目の「ロケットスター」が自分は思い浮かびます。もちろん「恋レス」「Bmc」などもありますが、いずれにせよ翼のソロ曲のイメージは

  明るい・元気 or カッコいい

のどちらかに絞られていくのではないかと。ユニット曲も割とそんな感じですね。

 そういうところで、今回のようなガッツリしたバラードソングは、翼にとって大きな挑戦であると同時に、翼の新しい可能性を切り開いたなぁと感じました。

 

⑵印象に残りやすいイントロ

 楽器には全然詳しくないので、演奏などについて詳しく語るのは憚られますが……。

 ピアノの和音と笛の音だけで描かれるイントロは、そのシンプルさゆえに引き込まれます。特に笛は、曲中でもかなり印象的な使い方をされていて、次項で話すことと併せて曲の軽やかさの演出に一役買っています。

 

⑶翼の明るく楽しい歌声

 ⑴で話した通りこの曲はバラードでちょっともの悲しくもありますが、一方で翼の歌い方は普段の軽やかな調子を保っており、聞いていて心が重くなる感じはありません。むしろ楽しいとすら思うかもしれない。

 そのため、いわゆる「普段聞き」というやつで流れてきても苦じゃないなぁというのは結構な推しポイントです。

 

⑷歌詞の対比が綺麗

 この項については、めちゃくちゃ内容が多いです。なのでもう少し大きいところで説明しようと思います。

 

3 歌詞

 この曲、何といっても歌詞がめちゃくちゃ良い、というか綺麗なんです。

 「MS2 06」のジャケットイラストは芸術モチーフでしたが、まさに芸術的な歌詞なんです。

 

 初めに抑えておきたいポイントとして、タイトルにも登場する『空』という言葉。

 歌詞を読み解いていくと、これは「伊吹翼の心」の象徴なのではないか、ということに気付きます。まぁ本心と言ったほうが意味として適切なんですけど、ともかくそういうものです。

 でもそうしたとき、躓くものがあるんですよね。

 この曲、歌詞にすでに「ココロ」が入ってるんです。

 空が翼の心の象徴・比喩なら、このココロは一体なんなん……?と、紬でなくてもそう疑問に思うわけです。

 恐らくですが、ココロは逆に表面へ表れる彼女の気持ちであり、空の示す心こそが奥深くに眠る彼女の気持ちなのではないでしょうか。対象をあえてカタカナで表記することで本来の対象よりも形式的なものへ近づける……みたいな効果を意図したものに思えます。

 といった感じで、この曲では「空」と「ココロ」の二本柱で伊吹翼を描いていく歌詞になっています。

 

 続いて、先ほど⑷としてあげた歌詞の対比に注目していきます。

 全体を大きく見ると、この曲は1番サビで「昨日」2番サビで「今日」ラスサビで「明日」を描いているんだということが、それぞれのサビ前Bメロの歌詞でわかります。

 もちろん昨日だ明日だと言っても厳密に日が変わるような話でなくて、これもまた喩えですね。

 今日、というのがつまりタイトルにもなっている「泣いた後」を意味して、昨日と明日はそこから少しずらした時間軸に当たります。

 上はサビ歌詞と、それぞれの時間軸を併せて書いたやつになります。

 というわけで時間軸を踏まえてサビの歌詞を見ていくと、露骨に1番サビとラスサビが被ってますよね。「吹き込む綺麗な風」、「駆け出してくココロは〜」、「強がり」など共通する言葉ばかりなんです。

 ここで抑えておきたい点は二つです。

 一つは、「昨日と明日は似ているけどちょっと違う」こと。もう一つは「昨日と明日が似ている」ことです。

  え? 示す順番おかしくない?

とは自分でも思いますが、逆に言えばこれが妥当になるからこの曲は美しいんです。

 

 さて、一つ目についてですが、「昨日と明日は似ているけどちょっと違う」となった時、ではなぜ違うのか?その違いはどこから生じたのか?という話になりますよね。

 で、それは当然、今日を経験したかどうかです。今日というのは例えでしたから、言い換えれば「泣いた後」を経験したかどうかです。

 すると次に疑問が湧くのは、じゃあそもそも「泣いた後」って何?です。

 

 少し話題はずれますが、伊吹翼にとって涙を流すことはどんな意味があるのかについて考えてみましょう。

 翼の涙といえばあの最強のイベントコミュ「DIAMOND JOKER」が思い出されますが、あのコミュで翼は、自分のリーダー的能力の限界を知って涙をこぼしています(自分はそう解釈してます)。

 それ以外でも、翼は元々、モテモテハッピーライフに憧れる女の子でした。辛いレッスンはしたくない、楽しいことだけやっていたい……そんな彼女にとって涙は、モテモテハッピーライフと真逆のところにあるはずです。

 ということを考えると、翼にとって涙を流すことは相当マイナスであり、自分の中にないものを受け入れる、あるいは自分の中に何かがないという事実そのものを受け入れる行為に当たります。

 

 そして翼にとって涙がそういった意味合いを持つならば、その涙を流した後の「今日」は、自分の中になかったものを受け入れるタイミングになるでしょう。その瞬間、モテモテハッピーライフを目指していた伊吹翼からは離れ、別の何かへ向かう伊吹翼へと変わってしまいます。

 結果、モテモテハッピーライフを目指していた「昨日」は、全然違う道へ歩き始めた「今日」によって、どこか変わった「明日」へ繋がっていく……というのが一つ目の「昨日と明日はちょっと違う」ことの意味合いです。

 

 でもここで大事になってくるのが、二つ目の「昨日と明日が似ている」ことです。

 似ている、というのはつまり、明日の伊吹翼はモテモテハッピーライフを目指す伊吹翼ではないのか?と僕は考えます。

 正直ここの部分は明らかな根拠があるわけじゃないんですが、1番サビとラスサビが相当に似ているのは、やはりこの面を出したいからではないかと。

 確かに今日、涙を流した後の伊吹翼は普段の彼女と違う道を歩くのかもしれません。

 しかし明日にはまた、モテモテハッピーライフを目指して元の道を歩き始めます。涙を経験して一回り成長しながら、また最初の夢へ向かって進んでいくのです。

 

 これ、めちゃくちゃ美しくないですか?

 昨日、今日、明日っていう対比だけなら割と見る感じしますが、今日から見た昨日と明日は似てるけどちょっと違くて、その違いは今日を経験したかどうかで……という流れに持っていくのは初めて見たぐらいかもしれません。

 そしてその中にも「空」と「ココロ」の対比があるとかで、すごく整理された対比だなって感じます。

 他にもメッセージとして、サビラストの歌詞が「強がり→前向き→強がり」になっているあたり、翼の強がり=表面である「ココロ」を認めている曲なんですよね。元々僕が翼のことを知らなかったからかもしれませんが、伊吹翼の見方がガラッと、いやガラガラガラッと変わりました。

 実を言うと、個人的に翼の見方が大幅に変わったのはこれで2回目なんです。1回目は「LTD04」のボイスドラマ。あっちはどちらかといえば「伊吹翼を取り巻く環境」についてビックリした感じですが、今回は完全に伊吹翼という少女のイメージが変わりました。最初の方にも言いましたけれど、まさしく挑戦であり、新たな可能性の曲なんです。

 

4 まとめ

 「泣き空、のち」は、翼の涙と心と成長を描いた超良曲です。そして重すぎず聴きやすい、楽しい曲でもあります。

 翼のPではありませんが、今回のような曲を作ってくれたことには感謝しかないです。運営さん本当にありがとうございます。

 そしてもちろん、この曲はここでは終わりません。

 これからのライブでmachicoさんと翼が見せてくれるパフォーマンス。

 ミリシタ(多分)に実装される際のコミュ。

 そこでもまた素晴らしいものが観れるだろうことを、今から期待しておきたいと思います。

 

 

 ……まぁ自分、9thのday1は配信勢なんですがね。チャンチャン